■加速が気持ちよく乗り味も上質
そもそも自然吸気の大排気量エンジンの魅力とは、ズバリ! 動力性能に余裕があるということ。
クルマのエンジンは、シリンダー内部で燃料を燃焼させることで発生した熱エネルギーを運動エネルギーに変換する。排気量が大きいとより多くの燃料を燃焼させることができるため、エンジンが発生するパワーやトルクが大きくなる。
発進時や走行中など、どの領域からでもアクセルの踏み込みに対してスムースかつパワフルに加速するため、ドライバーは余裕を感じながら、気持ちよく走ることができるというわけだ。
また、大排気量エンジンの多くは、6気筒とか8気筒、10気筒といった多気筒(マルチシリンダー)となる。気筒数が増えると、少ない気筒数の小排気量エンジンよりも1気筒あたりの仕事量を減らすことができる。さらに、燃焼時に生じる爆発力が小さくなるのでエンジンの振動が抑えられる。結果、静粛性に繋がり、上質な運転感覚を実現できるのだ。
ただし、燃料消費量が多くなって燃費は悪化する傾向にあるし、エンジンを構成する部品が増えるので、製造コストは高くなり、それはもろに車両価格に反映される。これも大排気量マルチシリンダーエンジンが高級車にしか搭載されない理由でもある。
そんな自然吸気の大排気量エンジンを搭載するマイナスよりも、余裕のある動力性能や質の高い運転感覚を実現するというプラスの面に着目し、魅力的な車種をみていこう。
■ジャンルを超えて魅力的な大排気量NAエンジン搭載モデル
【ミニバン/SUV】
自然吸気の大排気量エンジンの余裕は、ボディサイズや車重をものともしない。たとえば車重が2tに達するLサイズのミニバンやSUVにとって大排気量エンジンの性能は、フル乗車したり、荷物を満載した場合でも車格に見合った走りをもたらしてくれる。
【セダン】
排気量の大きさが車格を決定づける要素だった時代は、高級車に自然吸気の大排気量エンジンを搭載するのが当たり前だった。動力性能の高さはもちろん、マルチシリンダー特有の振動の少なさは、高級車にとって必須の能力である静粛性の向上に大きく貢献していた。
【スポーツカー】
排気量がもたらす余裕は、スポーツカーのような走りが重視されるクルマにとっても有効だ。ターボを組み合わせることで、より高い出力を発揮するエンジンもあるが、自然吸気特有の力強くスムーズな吹け上がりは、エンジン出力を右足でコントロールする楽しさや爽快感をもたらしてくれる。
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現在、クルマのパワートレーンは、自動車が誕生してからもっとも大きな変革期を迎えた。特にクルマが排出するCO2を削減するため、電動化が急激に進んでいる。そんな状況下において、自然吸気の大排気量エンジンというのは、燃費が悪く、税金は高いし、車重増の要因にもなって、無駄と捉えられることがしばしばある。
しかし、無駄なことをするのは人生における最高の贅沢でもある。だからこそ、あえて自然吸気の大排気量エンジン搭載車を選んで、豊かな人生、豊かなカーライフを楽しんでみてはいかがだろう。今後いつでも乗れるようになる電動車を選ぶよりも、断然クルマ好きらしい選択と言えるのではないだろうか。
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