異様にヨーロッパメーカーはEV!EV!って電気自動車にこだわりを見せている。脱炭素を実現する手段にはEV以外にもあるのに、欧州がEV化だけにこだわって推進しているのはなぜなのか?
※本稿は2023年2月のものです
文/佃義夫、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2023年3月10日号
■欧州メーカーが進める急速なEV化
世界の自動車変革の潮流として「EV化」の大きなうねりは、欧州メーカーのEV化宣言が先行リードするものとなっている。なぜ、欧州メーカーは急速なEV傾斜を進めているのか。
その回答は、昨年夏に欧州連合(EU)が2035年にガソリン車の新車販売を事実上禁止する方針を打ち出したことで、欧州メーカーがEV化・EV専業化を急ぐことを表明したためといえる。
温暖化防止の大義を掲げるEUに加え、EU各国の政治的なカーボンニュートラル実現へのエネルギー政策としてEV化への旗振りが、欧州で先行していることが大きい。
もともと、欧州乗用車市場はCO2の排出が少なく高速巡航性能に優れたディーゼル車の人気が高く、かつては販売の半数がディーゼル車だった。そして2010年代半ばまでは、クリーンディーゼル車人気が続いていた。
それが2015年、VWによる米国でのディーゼル車排ガス規制不正問題が発覚。いわゆる「ディーゼルゲート」事件と言われ、その後VWトップの引責辞任にまで発展したことが、VWがディーゼル車からEVへ大きく舵を切る転換点となった。
つまり、VWのディーゼル不正からEVへの戦略転換は、欧州乗用車市場全体のディーゼル車凋落に繋がっていった。同時に欧州自動車各社のEV化への加速が欧州各国政府、さらに欧州連合のEV化促進政策と連動しての動きとなっている。
■ヨーロッパ各国メーカーの動きは
すでにEV大国として世界に先行している北欧のノルウェーは、2025年の完全EV化を宣言している。続いて、2030年にスウェーデン・ドイツ・イギリス、2040年のフランスなどが挙げられる。
欧州のメーカー別では、メルセデスベンツは2030年に販売する新車のすべてをEVとする。BMWは、グループ全体で2030年までにグローバル販売での5割をEVとし、そのなかでMINIを先行させ2025年以降EV化させる。
VWは、グループのアウディが2025年までに20車種以上のEVをラインナップし、2025年以降の新型車はすべてEV化する。VW本体のフルEV化はグローバル販売地域が広いことから2040年までのEV化としている。
コメント
コメントの使い方理由は簡単、中国が今後はEVしか認めないと言ったから。自国技術でガソリンエンジンが作れない中国の対抗策。ヨーロッパメーカーは大市場を失わないためEV化せざるを得なかった。温暖化対策はヨーロッパ市場への都合の良い言い訳に過ぎない。