■JAXAとの研究開発でホンダが目指すものとは?
2023年1月、ホンダは有人月面探査計画を進めるJAXA(宇宙航空研究開発機構)と宇宙空間における「循環型再生エネルギーシステム」の研究開発契約を締結した。
ホンダが受託したのは2018年からJAXAと先行研究を重ねてきた月面基地や輸送・探査用車両に電力を供給するシステムの開発。
ベース技術となるのは燃料電池を用いた水素プラットフォームで、真空、強烈な宇宙放射線、昼110℃、夜マイナス170℃という寒暖差など、地球上とは比べ物にならない過酷な環境で長期安定稼働させるためのシステム設計やメンテナンス法などを確立させるものだ。まさにプラントエンジニアリングの最先端である。
「ロボットもやる、垂直離着陸機もやる、宇宙もやる。モビリティを3次元、4次元へ」
ホンダの三部敏宏社長は2021年に就任して早々に、こんな途方もない経営ビジョンを披露して世間を驚かせたが、これもそのひとつ。環境問題に端を発した社会の根本的な変革“グレートリセット”を前に自動車メーカーは将来どう生きていけばいいか、道をなかなか見出せないでいる。
その閉塞状況を打開する方法として、ホンダはやったことのないことをやってみるという道を選んだということ。身を捨てた八方破れの戦術がホンダをどう変えるのか、面白くなってきた。
(TEXT/井元康一郎)
■車種整理が進むホンダの販売店への影響は?
ホンダは電動化を急加速させるために、この2年間ほどで国内車種のラインナップを大幅に整理している。2021年からこれまでCR-V、インサイト、シャトル、S660、NSX、レジェンド、オデッセイアコード、クラリティなど9車種ものモデルを廃止した。
このうちオデッセイは国内生産を廃止したが、中国からの輸入モデルは2023年10月頃から復活させる。
こうした商品ラインナップの整理、再編に対してホンダ販売店の営業担当者はどのような考えを持っているのか? 大方は「販売店にとっては、多くのユーザーニーズに応え、1台でも多くのホンダ車を売る必要があるから、扱う車種の削減は困る状況にある」と受け止めている。
今回の場合、「あまり売れていなかったCR-V、インサイト、NSX、レジェンドはあまり影響がないが、シャトル、オデッセイ、S660などはモデルチェンジや改良によって商品強化すれば人気が回復するだろうから残念」と言う営業担当者が多い。
今後は2030年頃までに内燃機関を廃止し、電気自動車や燃料電池車に切り替えるというホンダの方針には不安を隠せないという販売店がほとんどのようだ。
(TEXT/遠藤徹)
■次期NSXはEVで開発している?
この写真は2022年4月にホンダが電動化自働車ビジネスに関する発表をした際に示されたスポーツモデルだ。三部敏宏社長は2020年代半ばに投入する計画であると説明。EV時代でも走りの楽しさを味わえるクルマを提供することを力説した。
このシルエットを見る限り、NSXのポジションを受け継ぐスポーツモデルであることがうかがえる。
ホンダが電動化に向けて新たに開発する「Honda e:Architecture」がそのベースになる。電動車に特化したプラットフォームで、そこにはスポーツモデルも含まれ、「スペシャルティ」と「フラッグシップ」の2モデルが用意される計画だ。
果たしてNSXという名称が与えられるかは現時点ではわからない。しかし、初代NSXが目指し、2代目NSXがさらに進化させたフラッグシップスポーツモデルとしてのポジションはEVにも受け継がれることになる。
NSXは北米ではアキュラブランドで販売されるが、アキュラでは2代目NSXが販売を終了するにあたり、今後は電動化されたスポーツカーを目指す、という趣旨のコメントを発している。ホンダはEVでのスーパースポーツの開発の手を緩めることはない。
(TEXT/編集部)
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