「毒」や「危」と大きく書かれたタンクローリーには何が積まれているのか、見かけた際の心構えは?

「毒」や「危」と大きく書かれたタンクローリーには何が積まれているのか、見かけた際の心構えは?

 街中を走る大型タンクローリーが、「危」や「毒」、「高圧ガス」といった標識を掲示しているのを見かけることがある。何となく、ガソリンやガスの類だということは想像がつくが、実際に何を運んでいるのか知っている人は少ないと思う。これらはいったい、どんなモノを運んでいるのだろうか。

文:吉川賢一
アイキャッチ画像:写真AC_時の記録者 Photo
写真:Adobe Stock、写真AC、社団法人全日本トラック協会、防衛省・自衛隊

「危」の標識は、ガソリンや灯油などもあるが、ゴマ油だったりもする

 最も多く見かける「危」の標識を掲示したタンクローリーが積んでいるのは、消防法で定められる「危険物」だ。消防法によって定められている、乙種第1類~6類(酸化性固体、可燃性固体、自然発火性物質及び禁水性物質、引火性液体、自然発火性物質及び禁水性物質、自然発火性物質及び禁水性物質)が該当する。

 身近な危険物は第4類の「引火性液体」だろう。アセトンやガソリン、ベンゼン、トルエン、アルコール、灯油、軽油、重油、グリセリン、またヤシ油、オリーブ油、ヒマシ油、ナタネ油、ゴマ油、トウモロコシ油といった動植物油類などが該当する。種類ごとに、一度に運ぶことができる指定数量が定められており、指定数量が小さいほど、危険度が大きい。

 例えば、発火しやすいガソリン(第4類、第1石油類、非水溶性液体)は最大200Lまでだが、(ガソリンと比べて)発火しにくい灯油や軽油(第4類、動植物油類)は1,000L、動植物油類は10,000Lまで運ぶことができる。

「危」のマークがついたタンクローリーが運んでいる危険物。身近なのは、第4類の「引火性液体」で、例えばガソリン、灯油、軽油、重油などが該当する。指定数量が小さいほど、危険度が大きい(社団法人全日本トラック協会 事業用トラックドライバー研修テキスト「危険物輸送の基本」より)
「危」のマークがついたタンクローリーが運んでいる危険物。身近なのは、第4類の「引火性液体」で、例えばガソリン、灯油、軽油、重油などが該当する。指定数量が小さいほど、危険度が大きい(社団法人全日本トラック協会 事業用トラックドライバー研修テキスト「危険物輸送の基本」より)

 これらをタンクローリーで運ぶ場合には、危険物の種類、品名、最大数量を表示したうえで、0.3~0.4メートルの地が黒色の板に黄色の反射性の材料で「危」と表示した標識を、車両前後の見やすい箇所に掲げることが消防法で定められており、危険物を取り扱うことができる資格を持った「危険物取扱者」が「危険物取扱免状」を携帯して運転または同乗する必要があるなど、積載方法や運搬方法などが、事細かに規定されている。

消防法では、「移送」と「運搬」で規制が異なっている。ちなみに、移送はタンクローリーで危険物を運ぶこと、運搬とはドラム缶などの運搬容器に入れて危険物を運ぶこと(PHOTO:写真AC_hakusyu)
消防法では、「移送」と「運搬」で規制が異なっている。ちなみに、移送はタンクローリーで危険物を運ぶこと、運搬とはドラム缶などの運搬容器に入れて危険物を運ぶこと(PHOTO:写真AC_hakusyu)

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