やっぱり強いトヨタの「クロス」!! ヤリスクロスとカローラクロスが爆売れする理由とは!?

■SUVナンバー1の燃費性能を誇るヤリスクロス

トヨタヤリスクロスのハイブリッド車は国産SUVナンバー1の燃費性能だ
トヨタヤリスクロスのハイブリッド車は国産SUVナンバー1の燃費性能だ

 それにしてもなぜ、SUVの販売上位3車をトヨタのコンパクトSUVが占めたのか。そこには複数の理由がある。

 まずは商品力の高さだ。SUV販売1位のライズは、実用的な5ドアボディだが、全長が4m以下に収まる5ナンバー車だ。5ナンバーサイズのSUVには、スズキクロスビーなどもあるが少数に留まる。5ナンバーサイズは、混雑した道路の多い日本では、貴重なセールスポイントだ。

 しかもライズは、フロントマスクなどの外観に、SUVらしい野性味が感じられる。RAV4をコンパクトにしたような印象だ。

 ダイハツの開発者は「2019年の東京モーターショーに、発売間近のロッキー(ライズの姉妹車)を展示した時、お客様から、このクルマにマニュアルトランスミッションはあるのか、という質問を多く受けた」と述べた。

 つまりロッキーを初めて見た人は、ジムニーのような悪路向けのSUVに近い印象を持ったらしい。

 ライズは2019年に発売された後、2021年にハイブリッドを加えた。このハイブリッドシステムは、エンジンが発電を行い、駆動はモーターが担当する日産のe-POWERに似たタイプだ。しかもハイブリッドの価格は、Zグレードの場合、ノーマルエンジン車と比べて28万9000円しか高まらない。

 ハイブリッドとノーマルエンジンの価格差は、マイルドタイプを除くと、大半が35万円以上だ。ライズのハイブリッドは、割安な価格で高い人気を得た。ライズの好調な売れ行きにも、ハイブリッドの設定が影響を与えている。

 SUVで販売2位のヤリスクロスも、全長を4200mm以下に抑えたコンパクトSUVだが、外観はライズと対称的だ。フロントマスクが鋭角的で、都会的なデザインに仕上げた。全幅も1765mmだから、少しワイドな3ナンバー車になる。

 ヤリスクロスの特徴として、衝突被害軽減ブレーキが先進的だ。自車が右左折する時に、直進してくる車両や横断歩道上の歩行者も検知して作動する。ハイブリッドも用意され、GやXのWLTCモード燃費は30km/Lを超えるから、国産SUVでは最も優れた数値を達成した。

 購入しやすいコンパクトなサイズ、低燃費、先進技術の採用がヤリスクロスの売れ行きを押し上げた。

■一番売れてるカローラはカローラクロス

トヨタカローラクロスにはノーマルエンジンとハイブリッドの2hする伊賀用意される
トヨタカローラクロスにはノーマルエンジンとハイブリッドの2hする伊賀用意される

 SUVで販売3位のカローラクロスは、全長が4500mm以下のコンパクトSUVでは荷室が広い。後席を使った状態で、荷室長は849mmを確保して、荷室容量も487Lに達する。後席の足元空間にも余裕があり、4名で乗車して快適に移動できる。従ってファミリーカーとしても使いやすい。

 カローラクロスのパワーユニットには、1.8Lのノーマルエンジンとハイブリッドがあり、両タイプの価格差は35万円だ。ハイブリッドは購入時に納める税額がノーマルエンジンに比べて約10万円安いから、実質価格差は約25万円に縮まる。

 しかもWLTCモード燃費によると、ハイブリッドのガソリン代は、ノーマルエンジンの半額少々で済む。レギュラーガソリン価格が1L当たり160円で計算すると、約5万kmを走ると、25万円の実質価格差をガソリン代の節約で取り戻せる。

 そのためにカローラクロスでは、ハイブリッドが売れ筋で、国内販売総数の80%を占める。カローラクロスの特徴は、居住性と積載性が優れ、ハイブリッドの燃費も優れていることだ。

 以上のようにトヨタの売れ筋コンパクトSUVは、3車種それぞれが明確な特徴を備える。販売店によると、ユーザーにも違いがあるという。「ライズは子育てを終えたお客様と、セカンドカーのニーズが多い。ヤリスクロスは女性や比較的若いファミリーに人気だ。

 カローラクロスは広さを重視する子育て世代のお客様が目立つ」。この3車は、SUVだから海外市場も視野に入れて開発されたが、国内の使われ方に合っていることも人気の秘訣だ。

 商品力以外に、トヨタの事情も好調な売れ行きに影響を与えた。まずはトヨタの販売店舗数が多いことだ。今はトヨタの全店が全車を扱うから、約4600店舗がこの3車を販売している。日産の約2100店舗、ホンダの約2200店舗に比べると、トヨタの販売網は2倍以上だ。

 そしてトヨタでは、軽自動車をほとんど扱っていない。ほかのメーカーの2022年における国内販売状況を見ると、日産車の39%、ホンダでは53%が軽自動車だった。日産キックスやホンダヴェゼルは、販売力を軽自動車に奪われて売れ行きが伸び悩むが、トヨタはこのような影響を受けない。

 そしてトヨタとしては、自社ユーザーが軽自動車へ乗り替える動きをコンパクトな車種で防ぐ必要もあるから、前述の通りハイブリッド車を中心に価格を割安に抑えた。このようなトヨタの価格/販売戦略も、コンパクトSUVの売れ行きを押し上げている。

 優れた商品力と販売力で売れ行きを増やすパターンは、昭和の時代に好調に売られたマークII/チェイサー/クレスタなどを思い出させる。その意味でライズ/ヤリスクロス/カローラクロスのSUV販売上位3車は、トヨタ車の典型といえるだろう。

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