トヨタ アルファードの独壇場じゃん!! なぜドイツメーカーはマネしない!?

■人気のドイツ車もミニバンはごく少数! ライバルはベンツVクラスのみ!!

ドイツ車でアルファードのライバル車になりそうなモデルは、メルセデスベンツVクラスのみ
ドイツ車でアルファードのライバル車になりそうなモデルは、メルセデスベンツVクラスのみ

 輸入車はどうか。日本で注目される輸入車はドイツ車だ。2022年に輸入された海外メーカー車のうち、メルセデスベンツ/VW(フォルクスワーゲン)/BMW/BMWミニ/アウディを合計すると、正規輸入車全体の65%に達する。

 そこでドイツ製の輸入ミニバンを探すと、車種数が少ない。メルセデスベンツVクラスとVWゴルフトゥーラン程度だ。

 以前は背の高いLサイズミニバンのVWシャランがあったが、今は終了している。アルファードのライバル車になりそうなLサイズのスライドドアを備えたミニバンは、メルセデスベンツVクラスだけだ。

 ドイツ車は、セダンやワゴンから、スポーツカー、SUVまで数多く輸入しているのに、なぜミニバンだけは極端に少ないのか。

 ミニバンが急速に普及を開始した1990年代の中盤頃、輸入車を扱う法人のスタッフから「ドイツメーカーの開発者が来日すると、ミニバンが多いことに必ず驚く」という話を聞いた。

「ミニバンのファミリーカーとしての使いやすさを、いくら説明しても理解してもらえない」とのことだった。

 この根底には、ミニバンというよりも、クルマに対する日本とドイツの捉え方の違いがある。

■ドイツ車にミニバンが少ない理由はドイツの道路環境にアリ!!

高速走行の機会が多いドイツの道路環境では、走行安定性を重視するため重心の高い車種は好まれない
高速走行の機会が多いドイツの道路環境では、走行安定性を重視するため重心の高い車種は好まれない

 ドイツは日本に比べて、高速走行の機会が日常的に多い。そして時速100kmを大幅に超える速度域では、走行安定性やステアリング操作に対する車両の反応が悪いと、交通事故を発生させて当事者が死亡する危険性も高まる。

「スピードは控え目に」的な緩い話ではなく、ドイツの道路環境はもっと切実だ。

 この背景には、クルマに対する合理的な考え方もある。空気抵抗に基づく環境/燃費性能を除外して、クルマを使う価値を突き詰めると、速度は高いほど好ましい。

 クルマを使う一番大きな価値は移動時間の節約で、その達成率は、移動速度が高まるほど向上するからだ。

 例えば時速50kmで走ると10時間かかる距離を、時速100kmで進めば5時間に短縮される。時速200kmなら2時間半で済む。

 高速道路を整備して、高速走行が可能な車両を開発すれば、移動時間が短くなって経済効果も高まる。ドイツのアウトバーンなど、高速走行が可能な道路は、この考え方に基づいている。

 その代わり、ドライバー、車両、道路のすべてが高い安全意識や安全性を備えていないと、重大な交通事故が発生するわけだ。

 ドイツ車にミニバンが少ない理由も、この安全性にある。乗用車は高速走行の機会が生じるため、全高が1800mmを超える重心の高い車種は、伝統的に好まれない。

 同じ理由により、ドイツなどの欧州メーカーでは、SUVの開発も遅れた。アメリカ車や日本車には、1980年代から悪路向けを中心にSUVが数多く用意されたが、ドイツ製のSUVが本格的に増え始めたのは2000年以降だ。

 ドイツブランドの日本法人のスタッフは「近年は北米市場におけるSUVの人気が急速に高まった。

 同時に車両の開発能力も進歩したから、高重心でも走行安定性に不満のないクルマ造りが可能になり、2000年頃からSUVのラインナップが急増した」と述べている。

 今では、メルセデスベンツ、BMW、アウディがSUVを数多くそろえる。この中には3列シート装着車も含まれるから、ミニバンの代わりになっている。そうなればミニバンは、やはり増えない。

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