トヨタ アルファードの独壇場じゃん!! なぜドイツメーカーはマネしない!?

■ベンツVクラスはなぜ誕生!? 商用バンベースならではの特徴とは?

商用バンがベースのためミニバンでありながら後輪駆動を採用するVクラス。プロペラシャフトを避けて床を平らに仕上げたので床の位置が高くなっている
商用バンがベースのためミニバンでありながら後輪駆動を採用するVクラス。プロペラシャフトを避けて床を平らに仕上げたので床の位置が高くなっている

 アルファードのライバル車になりそうな例外的な唯一のLサイズミニバンは、メルセデスベンツVクラスだ。

 全長は標準タイプが4905mm、ロングは5150mm、エクストラロングは5380mmに達する。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も、標準タイプとロングは3200mm、エクストラロングは3430mmと長い。

 全幅と全高は両方ともに1930mmで共通化され、スライドドアも装着している。

 Vクラスを開発できた理由は、ベース車両として、商用バンのメルセデスベンツ・ヴィトーがあるためだ。商用車だから、用途に応じて選べる複数のボディが用意され、いわばヴィトーのラグジュアリー乗用モデルとしてVクラスが造られた。

 商用バンがベースだから、Vクラスも、背の高いミニバンでありながら後輪駆動を採用する。

 しかも商用バンやミニバンでは、積載性や2/3列目シートの居住性を考えて、床を平らに仕上げねばならない。

 Vクラスの場合、後輪を駆動するプロペラシャフトを避けて平らにしたから、床の位置がヴィトーと同じく大幅に高い。前輪駆動の採用で床を低く抑えた国産ミニバンに比べると、乗降性が悪い。

 つまり商用バンのヴィトーをベースに造られたVクラスは、海外版ハイエースと基本部分を共通化したグランエースに近い。

 グランエースも後輪駆動だから、床を平らに仕上げた結果、その位置が持ち上がった。このようにVクラスやグランエースは、ベースの商用バンが存在したから開発できた乗用車で、ミニバンだけでは成り立たない。

 そしてメルセデスベンツの走行安定性に対するこだわりは、Vクラスの寸法からも分かる。全幅と全高が両方とも1930mmで等しいことだ。

■縦長ボディのミニバンは特殊!? 日欧で異なるクルマに対する考え方

全高が全幅の1.2倍に達する縦長ボディのN-BOXなどは、欧州メーカーから見ると特殊なクルマ
全高が全幅の1.2倍に達する縦長ボディのN-BOXなどは、欧州メーカーから見ると特殊なクルマ

 国産ミニバンの多くは、全幅よりも全高の数値が大きく、縦長のボディ形状になる。

 エルグランドとオデッセイは、全高の数値が全幅よりも小さいが、前述の通りアルファードとの販売合戦に負けて、フルモデルチェンジが見送られたり廃止されている。

 欧州メーカーから見ると、全幅よりも全高の数値が大きい「縦長ボディ」のミニバンは、高重心で走行安定性のセオリーに反する特殊なクルマだろう。

 さらに日本国内の新車市場を見ると、冒頭で述べた通り約40%が軽自動車で、軽乗用車の約50%は、全高が1750mmを超えるスーパーハイトワゴンだ。

 全高が全幅の1.2倍に達する車種が日本の売れ筋カテゴリーになり、特にホンダN-BOX、ダイハツタント、スズキスペーシアなどは、使い勝手が抜群に良いために販売ランキングの上位に入る。

 以上のようにドイツを始めとする欧州と日本では、クルマの移動速度や日常の使われ方、車種選びの考え方が根本的に異なる。

■日本とは異なる価値観がドイツ車ならではの魅力に!

日本では衰退するセダンも走行安定性を重視するドイツでは根強く残る
日本では衰退するセダンも走行安定性を重視するドイツでは根強く残る

 そのためにドイツ製の輸入車には、今でも低重心のセダン、ワゴン、ハッチバックが根強く残る。

 日本ではセダンとワゴンが大幅に減り、背の高いN-BOXやタントのような軽自動車、同じく背の高いトヨタルーミーなどのコンパクトカー、アルファードやノア&ヴォクシーといったミニバンが売れ筋だ。

 こういった明確な違いがあるからこそ、日本車と欧州車は共存が可能になり、ドイツ車が正規輸入車全体の65%を占める。

 ドイツ車を運転すると、日本車とは異なる価値観が新鮮に感じられ、海外のいろいろなクルマをさらに知りたくなるのだ。

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