運送事業者と荷主の認知は?
標準的な運賃の認知状況に関しては、「金額や原価計算の方法を理解している」が43%、「金額のみ理解している」が40%となり、内容まである程度理解している事業者が全体の83%となった(「名称のみ知っている」の16%を合わせると99%)。
価格交渉の前提となる運賃の原価計算については、「標準的な運賃の原価計算方法で実施」が20%、「自社独自の方法で実施」が59%、「原価計算を実施していない」が21%だった。原価計算の実施企業は79%となり、前年度の32%から大幅に増えた。
また、運賃交渉を実施しない理由としては「契約が打ち切られる恐れを考慮」が60%、「荷主の経営状況を考慮」が40%だった。いっぽう22%は「交渉に当たる人材や時間的制約」で、運送事業者側に交渉を行なうだけの余力がない状況も垣間見える。
荷主側の調査では標準的な運賃をある程度理解していると回答した企業が74%となった。事業者からの運賃提示について、「標準的な運賃を提示された」が5%、「標準的な運賃を考慮した(独自の)運賃を提示された」が47%、「両方を提示された」が9%、「新たな運賃は提示されていない」が39%だった。
運送事業者への対応として「新たな運賃を受け入れた」が33%、「一定程度受け入れた」が58%となり、荷主側としては9割以上が運賃アップに応じているという回答だ。
標準的な運賃は2023年3月末までの時限措置となっているが、「延長を希望する」は事業者の76%となった。
その他の意見として「実勢運賃より高い水準だが、交渉に有利」「継続することで認知も高まる」など荷主との交渉に活用しやすいという意見が多かった。また「国交省による支援として運賃の下支えになる」「原価計算の参考となる」「経営判断に活用できる」という意見もあった。
他には「荷主の理解度がまだ低い」「コロナ禍で交渉ができなかった」「荷主の経営状況から改定が困難」などの意見も見られた。
エネルギー価格の高騰などを背景に、運送会社としても価格交渉に臨まざるを得ない状況ではあるが、「標準的な運賃」の告示がある程度の運賃アップにつながっているのは間違いないようだ。
しかし2024年問題まで残り1年を切っている。トラックドライバーの働き方改革がかえってドライバーの首を絞めることにならないように、また持続可能な物流の実現のためにも、適正な運賃の収受を急ぐ必要がある。
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