シエンタ復活大成功! 再登板でも失敗あり!? 出戻り組の天国と地獄

シエンタ復活大成功! 再登板でも失敗あり!? 出戻り組の天国と地獄

 モデルチェンジの頻度が高い市販車において、同じ車名で長く続くモデルがあれば、どこかの段階で車名(シリーズ)が途絶えてしまうモデルもある。だが、いくつかの年月を経て復活する車名があるのもまた事実だ。

 今回は、ファンにとっては待望の復活を果たし、そのまま成功したモデルと、残念ながらリニューアル版がそこまで高い評価を得られなかったモデルをピックアップして紹介していきたい。

文/長谷川 敦、写真/スズキ、トヨタ、フォルクスワーゲン、ホンダ、三菱、FavCars.com

復活が成功につながったモデル3選

●トヨタ シエンタ

現行型3代目トヨタ シエンタ。登場は2022年8月で、人気を集めた2代目のコンセプトを継承しつつ、安全性能が高められた。この3代目もセールスは好調
現行型3代目トヨタ シエンタ。登場は2022年8月で、人気を集めた2代目のコンセプトを継承しつつ、安全性能が高められた。この3代目もセールスは好調

 トヨタのコンパクトミニバン・シエンタは、2003年に初代モデルが発売され、現在も続いているシリーズだが、実は2010年から2011年にかけて一度製造販売が途切れているのをご存じだろうか?

 トヨタは2008年にコンパクトミニバンのパッソセッテを発売する。そしてこのクルマがシエンタの事実上の後継車種とされていた。

 ということで、パッソセッテ登場から2年が経過した時点でシエンタは終了となり、以後の復活も予定されてはいなかった。

 だが、パッソセッテは初動こそ良かったものの、その後の売れゆきが思わしくなく、これを受けて2011年のシエンタ復活が決定される。こうして初代モデルをベースにマイナーチェンジされたシエンタが8月に再登場となった。

 この時期にエコカー減税が導入されたのだが、パッソセッテにはこの減税が適用されず、シエンタは適用対象となることも再登場の理由となっている。

 復活したシエンタは堅調な販売実績をあげ、2015年に登場した新型2代目シエンタはデザインの良さもあってヒットモデルとなった。3代目が走る現在では、シエンタがトヨタ主力モデルのひとつになっている。

 これほど鮮やかな復活劇はクルマの歴史においても珍しいといえる。

●トヨタ スープラ

再登板なんてあり!? なぜ廃止した? 出戻り組の天国と地獄
17年の沈黙の後に復活したトヨタ スープラ。ドイツ・BMWと共同開発されたモデルで、プラットフォームはBMW製。製造もオーストリアの工場で行われている

 ベテランの読者にはトヨタ セリカXXという車名も記憶に残るスポーツカーがスープラ。当初はセリカのスペシャリティモデルとして発売され、やがて北米での販売名に合わせて独立、その後は2002年まで販売が続けられた。

 そんなスープラがアメリカ映画の「ワイルドスピード」シリーズによって脚光を浴びることになった。劇中で4代目A80型スープラが大活躍を演じたことでアメリカでの人気が沸騰。中古車価格も一気に上がったという。

 こうした状況を受けてではないだろうが、トヨタは2018年にスープラの復活をアナウンス。17年ぶりに登場する新型スープラはドイツ・BMWとの共同開発となることも同時に発表された。

 多くの期待を集めた新型GRスープラは2019年に販売が開始され、北米はもとより日本国内でも好評をもって迎えられた。

 好調なGRスープラは2022年にマニュアルトランスミッションモデルもリリース。それまでのオートマチック車だけというラインナップに不満を感じていた層を引きつけることにも成功した。

 技術的には先代とのつながりはまったくなく、いわば車名を継承しただけにすぎないGRスープラだが、この復活も成功のひとつに数えてよいだろう。

●三菱 エクリプスクロス

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三菱 エクリプスクロス。写真を見ればわかるようにクロスオーバーSUVモデルであり、クーペモデルだったオリジナルのエクリプスとの関連性は低い

 先に紹介したGRスープラは先代の直系モデルとはいえないが、FRレイアウトの2ドアスポーツカーというコンセプトは同じだった。しかし、ここで紹介する三菱のエクリプスクロスは、車名のみを引き継ぎながら、まったく別カテゴリーのクルマとして再登場している。

 1989年に発売された元祖三菱 エクリプスは2/3ドアのスポーツクーペモデル。三菱のモデルだが、実際の製造は当時提携関係にあったクライスラーとの合弁企業がアメリカで行っていた。

 アメリカで製造するスタイルは2005年デビューの4代目まで続くものの、日本での取り扱いがあったのは3代目まで。2006年には国内販売を終了している。

 北米をはじめとする海外では一定の評価を得たエクリプスだが、日本ではそこまでヒットモデルになれず、その海外でも2012年に販売が終了となった。だが、2017年にエクリプスの名称だけが復活することになる。

 新たに「クロス」の名称が追加された登場したエクリプスクロスは、それ以前のスポーツクーペではなくクロスオーバーSUVに生まれ変わっていた。

 つまり先代までのエクリプスとはほぼ共通性のないクルマになったが、クーペ的なデザインを持ったクロスオーバーSUVということで、エクリプスの名称が与えられた。

 すべてを一新したエクリプスクロスは、発売からしばらくはそこまで目立った販売成績を残していない。しかし、2020年12月にマイナーチェンジが行われると注目が集まり、2021年は一気に売り上げを伸ばした。

 この好調は現在も続き、今や三菱 エクリプスといえばかつてのクーペではなく、現在のエクリプスクロスをイメージさせる状況になっている。名称だけとはいえ、エクリプスの復活は成功だったようだ。

次ページは : 復活が残念な結果に終わったクルマたち2選

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