新型レクサス版アルファードまずは4人乗りだけ!?  LMの戦略が巧みすぎる!!

■LMはミニバンじゃない!? あえて違う呼称でレクサスらしさ追求

 これまでも〇〇のレクサス版と言われるクルマが多く、トヨタ車とレクサスモデルの明確な違いが、ユーザー側に伝わりきっていないことが数多くあった。

 HSとSAI、初代NXとハリアー、LXとランクル300、ESとカムリなど、同一車格で乗車定員も同じ、違うのは価格だけと揶揄されることも多かったレクサス。

 販売現場では「違い」に対する丁寧な説明を、開業当初から必死に続けてきている。結果としてトヨタとレクサスブランドの違いが、ユーザー側にも認知されるようになってきた。

 とくにLMに関しては、アルヴェルのレクサス版とは言わせない雰囲気が、ひしひしと伝わってくる。

 アルヴェルは「ミニバン」、LMは「ショーファーMPV」と明確にジャンルを分けたのも対策の一つ。ミニバンは多人数乗車ができるもの、ならばLMは同格以上の車体に4名しか乗れないという事実を作る。

 こうした姿勢や戦略が、高級ブランドレクサスのショーファーカーを育てる土壌だ。もちろんLMには6・7人乗りも用意されるが、まずは4人乗りに特化し、ショーファードリブンを意識させていく。

 アルヴェルのエグゼクティブラウンジは、3列シートの2列目を豪華にした変則ミニバンである。一方のLMはシートが2列しかない専用仕様。この差が、LMの独自性を大きく高めることになり、独自路線を走り出すきっかけとなるはずだ。

■ライバルはショーファーカー!! スライドドアの優位性で勝てるか!?

日本のショーファーカーといえばセンチュリーだが、LM登場でこの市場も大変革期を迎える可能性大
日本のショーファーカーといえばセンチュリーだが、LM登場でこの市場も大変革期を迎える可能性大

 ロールスロイスやマイバッハに代表されるショーファーカー。大型の高級セダンが主流だったが、昨今ではボルボのXC90エクセレンス、メルセデス・マイバッハのG650ランドレーなど、SUVをショーファーカーとして利用する著名人も多い。

 日本の誇るセンチュリーも忘れてはいけないが、現在のショーファーカー(お抱え運転手付きのクルマ)の多くは、VIPが座る2列目シートの前にヒンジドアが存在する。

 基本的に運転手がクルマを止め、助手席の付き人等が後席のヒンジドアを開け、VIPが登場するという流れになるが、なんとも前時代的で煩わしいと感じるショーファーカーオーナーもいるようだ。

 とくにアジア圏では、こうした傾向が顕著であり、ショーファーカーでも電動スライドドアを使って、広い開口部からスマートに乗り降りしたいという要望が多い。ここに入り込みたいのがラグジュアリームーバーを名乗るLMである。

 我慢をしながら30系アルファードのエグゼクティブラウンジを利用していたオーナーはもちろんだが、LMが開拓すべきはヒンジドアショーファーカーに乗る、日本のVIPたち。

 ショーファーカーとしての質はもちろんだが、スライドドアの優位性をいかにうまく伝えるかが、販売戦略の大きなカギを握ってくる。

 スライドドア初導入の国内レクサス販売店だが、筆者が訪問した複数のレクサス店では、既に周到な準備が行われ、いつLMが来てもいい状態に見えた。

LMのことを「ミニバン」とは言わず「MPV」と表現するところにも、細かいがこだわりが見え隠れする。

■VIPは新型アルヴェルより断然LM

 メーカーとレクサスディーラーが、LMの国内販売には何が必要かを洗い出し、新しいレクサスを世に出す準備が着々と整っている。残る課題は敵情視察と、LSとは違うショーファーMPVの魅力の中心をどこに据えるか。

 あと四半期も過ぎれば、LMの登場となる。先行するアルファード・ヴェルファイアに注目は集まるが、本当の「最上級な移動空間」を求めるなら、断然LMを選択すべきだと思う。

 LS、LX、そしてLMと、各カテゴリーのフラッグシップモデルが出そろった。旗艦車種はカテゴリーのトップを担うが、同時にブランドの顔にもなる存在である。レクサスはLMの登場で、また大きな進化を遂げることとなるだろう。

 日本の最上級ブランドが、さらに飛躍の時期を迎えていることは間違いない。今秋、新たなレクサスの幕があがる。

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