■いよいよ実走!! マツダ CX-60 XD-HYBRIDの乗り味は!?
アクセルペダルはこちらもオルガンタイプですが、斜めに配置されることはなく、ブレーキペダルを慌てて踏み込んだ時に共踏みする恐れは低いと思います。これが当たり前の思いやりです。
さて、ゆっくりと走り出します。リアの硬さを感じます。ステアを左右に大きく切ると、フロントは軽快というよりも、軽薄なまでにフラフラ動きます。
リアショックアブの伸び側減衰が強すぎます。連続する波状路面の微小な段差を40km/h前後で通過するとよくわかります。トントントン……と通過するのですが、凸部で縮んだリアサスが伸びて戻る前に(縮んだ状態で)次の凸入力があり、これが連続して、ボトミング現象(底付き感)が出ています。
しかもリアサスアームの取り付け部がピロボールのため、前後に微小に動いて吸収する「ブッシュのタメ」がなく、より鋭い感じでこの突き上げは入ってきます。
R35GT-Rでもピロは使っていますが、前後方向にはピロは使わず、硬めのブッシュマウントにして「動きのタメ」を作っています。
突起の入力時に、微小にタイヤを前後に動かし「動きのタメ」で上下方向の衝撃をいなしてやるのです。固めればいいというものではありません。日本刀は「しなりがあるから切れる」のです。
さらには、ピロを採用したことによる製造精度の特別管理も必要です。
私はR35GT-Rの開発では、ニュルを走るテスト車両のサスの動きを高速度カメラや各種センサーを使ってデータ集積をして、サスペンションの動きやタイヤの変形と、同時にドライバーの運転操作の変動などを、製造する精度のバラツキ分も含めて計測や解析をして、裏付けをとりながらサスペンションの開発は進めました。
話をCX-60に戻します。コーナリングでは、フロントのロールが大きく、沈み込みも速く動きすぎ。さらに、下り坂の旋回姿勢も前のめりで、タイヤのスキール音も容易にでます。
前輪の接地面が生かし切れていないことに加え、リア内輪の接地荷重も少し抜けぎみです。急制動ではノーズダイブが大きく、リアサスが伸び切らず、後輪の接地も不安定です。
エンジンはいいですね。アクセルを踏んだ瞬間にマイルドハイブリッドモーターが反応をしてトルクが立ち上がり、エンジン本体のトルクとしっかりつながってスムーズにトルクが盛り上がっていく。
これは基礎解析をしっかりとやって、時間をかけて作り込んでいったことがわかります。大排気量ガソリンエンジンのようなフィーリングです。決してドカンとパンチがある盛り上がりではありませんが、上質さを感じる高級車のエンジンです。
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