フィットはいま中国で輝く!? 中国版フィットは「RS顔」が標準で精悍! 日本でも頑張ってほしいゾ!

■変化したホンダのイメージへの影響も大きい?

ロングスパンモデルとなっている現行型N-BOX。今のホンダを象徴するモデルと言っても過言ではないだろう
ロングスパンモデルとなっている現行型N-BOX。今のホンダを象徴するモデルと言っても過言ではないだろう

 まずはホンダのブランドイメージだ。N-BOXは2011年に投入した初代モデルから、10年以上に渡って好調に売られてきた。直近では国内で売られるホンダ車の半数近くがN-BOXだから、ホンダのブランドイメージも変化している。「小さくて背の高い実用的なクルマのメーカー」になり、スポーツカーが中心だった以前のホンダとは対称的だ。

 そして、N-BOXが築いたこのブランドイメージと親和性の高い車種をほかに挙げると、筆頭はフリードになる。フリードも「小さくて背の高い実用的なクルマ」で、単純にいえば、N-BOXを小型車に拡大して3列シートを装着した車種だ。つまり、軽自動車のN-BOXと小型車のフリードは、今のホンダのブランドイメージを代表する存在になる。

 そうなるとステップワゴンも気になるが、2023年1月~5月までの1カ月平均登録台数は約2600台に留まった。納期遅延の影響もあるが、ステップワゴンの全長は4800mm以上だから、今のホンダの「小さくて」のブランドイメージに合わない。設計の古いフリードが好調に売られ、ステップワゴンは2022年にデビューしたのに落ち込んだ。

 それならフィットはどうか。ボディは小さいが、背はN-BOXほど高くない。そしてフィットの価格帯は159万2800円から271万8100円だ。N-BOXは146万8500円から228万8000円だから、フィットのノーマルエンジン車の価格帯はN-BOXと重複する。

 そうなると150万円から200万円の価格帯では、フィットとN-BOXが競争関係に置かれる。フィットはN-BOXにユーザーを奪われ、売れゆきを落ち込ませた。

 N-BOXはボディの小さな軽自動車だが、全高は1790mm(2WD)と高く、車内も小型車のフィットに比べて広い。N-BOXは、後席の頭上と足元にもタップリした空間があり、後席を格納すれば自転車も積める大容量の荷室になる。後席側にはスライドドアを装着したから、子供や荷物を抱えた状態でも乗り降りしやすい。

 さらにN-BOXは内装も上質で、エンジンノイズは小さく、軽自動車では乗り心地も快適だ。街中を時速60km以下で移動する用途では、駐車場での車庫入れなども含めて、N-BOXはフィットよりも便利に使える。従って売れゆきも伸びた。

■フィットならではの魅力も当然ある!

現行型フィットRS。現行型デビュー時には設定されていなかったのだが、マイチェンで復活した
現行型フィットRS。現行型デビュー時には設定されていなかったのだが、マイチェンで復活した

 そのいっぽうでフィットにもメリットはある。クロスターを除くと、全高を1550mm以下に抑えた5ナンバー車だから、N-BOXと違って立体駐車場を使いやすい。N-BOXに比べて重心も低く、ボディはワイドだから、走行安定性も良好だ。

 特に高速道路で強い横風にあおられた時など、N-BOXに比べて進路を乱されにくい。フィットのエンジンは、直列4気筒1.5Lのノーマルタイプとe:HEVだから、実用回転域の余裕もある。走りの満足度は全般的にフィットが上回る。

 また、フィットは全高が1550mm以下のライバル車に比べて車内が広い。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシふたつ半だ。ヤリスの握りコブシひとつ少々、アクアやノートのふたつ弱に比べて余裕があり、フィットはファミリーカーにも適する。

 そしてフィットは燃料タンクを前席の下に搭載するから、後席を格納すると床の低い大容量の荷室に変更できる。後席の座面を持ち上げると、車内の中央が天井の高い空間になり、後席のドアから背の高い荷物を積むことも可能だ。

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