ドアパンチが嫌だから!? 障がい者駐車スペース不正利用の自分勝手な言い訳と「本当に必要な人」の切実な事情

ドアパンチが嫌だから!? 障がい者駐車スペース不正利用の自分勝手な言い訳と「本当に必要な人」の切実な事情

 高速道路のSA/PAや大型商業施設の駐車場に行くと、建物の入り口近辺やトイレのすぐ近くの便利な位置に用意されている「障がい者駐車スペース」。しかしながら、このスペースを不正に利用する人が続出。どうして不正利用するのか? そしてこのスペースを本当に必要としている人とはどんな人なのだろうか?

※本稿は2023年5月のものです
文/加藤久美子、写真/ベストカー編集部、Adobe Stock
初出:『ベストカー』2023年6月10日号

■高速道路のSA/PAでも不正駐車が多発

足柄SAの障がい者駐車スペースでは駐車すると自動で注意喚起の音声が流れる
足柄SAの障がい者駐車スペースでは駐車すると自動で注意喚起の音声が流れる

 高速道路のSA/PAに設置された駐車スペースでも利用者をしっかりと特定しない、曖昧な掲示で不正利用が絶たない。ほとんどのSA/PAでは「ここは車いす使用者など歩行が困難な方の専用駐車スペースです」としか書かれていない。

 車いす用トイレを「多目的トイレ」や「どなたでもご利用いただけます」などと表示しているのと同じで、利用者を明確に定義付けないことで本当に必要としている人が使えない場合も多々ある。

 ネクスコ各社では正しい利用を促すポスターを掲示したり、障がい者用にクルマが入ってくると自動で音声を流したりする措置をとっているが、健常者のクルマが止まっていても、係員が注意することもないし、もちろん駐車違反で警察が取り締まるわけでもない。

■障がい者駐車スペースを必要する人の実態

車いす利用者がクルマに乗り込むためには、充分なスペースが必要になる
車いす利用者がクルマに乗り込むためには、充分なスペースが必要になる

 ところで、障がい者用駐車スペースを「本当に必要としている人」とはどんな人だろうか? それは物理的にその場所にしか停められない方々だ。

 「普段、車いすをクルマに積んでひとりで運転し、目的地に着いたら車いすを降ろして移動する場合、ドアを全開にして運転席から車いすに乗り移る必要があります。

 クルマの横幅+両側に各1m以上の乗降用スペースが必要となるので全幅1.7mのクルマなら3.7m以上が理想となります。最低3.5mあれば何とか移動は可能です」(単独で運転して移動する機会の多い車いす利用者)

 次に必要な人は自分では運転をしないが、車いすを利用しないと歩行ができない、または困難な人たちである。ドアを開けて介助を受けながら車いすに乗り移る、または、車いすからクルマの座席に乗り移る場合もドアは基本全開にするので、やはり広いスペースが必要となる。

 なお、ケガをして松葉杖をついている人や妊娠中の人など長距離歩行が困難な人の場合は、ドライバーに出入り口に近い場所で降ろしてもらって、ドライバーは一般の駐車スペースに置きに行くのがベストだと筆者は思う。

 ただし、目を離せない高齢者や介助がないと歩けない人、またクルマの行き来が激しい場所での乗降ではこの限りでない。

 何度も目撃してきたが、障がい者用に平気で停めるクルマのなかには絶対に車いすが積めないような2座のスポーツカーや現場に向かう資材満載のトラックなども珍しくない。

 それらのクルマには決まって100均で入手できる青い車いすステッカーが貼られている。何の公的な証明にもならない、誰でも買えるあの青いステッカーだけで障がい者アピールをし、やすやすと車いす専用駐車スペースに停めているのはまったく腹立たしい限りだ。

次ページは : ■恐ろしく自分勝手な不正利用者の言い訳

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