まさにリアル「教場」!? 警視庁伝説の白バイ隊員が振り返る懐かしき昭和 警察学校の日々

■中野ブロードウェイに出没!?、厳しい日々の楽しみ

 学生たちの楽しみといえば、休日の外出だった。

 1978年当時はまだ社会全体が週休2日制になる前だったので、土曜日は半ドン、完全な休みは日曜日と祭日だった。しかし、警察学校では、休日だからといって、自由に過ごせたり、外出できたりというわけではなかった。まず、土曜日の午後は、教官と一緒に運動タイムということが多かった。また祭日は教官の引率で、教場全員でレクリエーションということで、都内のあちこちへお出かけというスケジュールだった。一度だが、教官が幼い息子を連れてきて、教場全員で多摩動物園という日もあった。教官の家族サービスにつきあわされた格好だ。

 とはいえ、教官も日曜日は休みたいのか、学校には来ず、学生も安心して外出できた。実家が近い者は迷うことなく実家へ、行く当てのない地方出身者は、学校の近くにある商店街の中野ブロードウェイをぶらついた。たまに足を延ばして新宿や渋谷へ行くことも。みな、気分転換のため、少しでも学校の外の空気を吸いに出ていったものだ。

中野駅北口を出てすぐのところにある中野ブロードウェイ。「サブカルの聖地」としても知られる(竹澤宏@Adobe Astock)
中野駅北口を出てすぐのところにある中野ブロードウェイ。「サブカルの聖地」としても知られる(竹澤宏@Adobe Astock)

 ちなみに外出時は背広とネクタイ(夏場はノーネクタイ可)着用が必須だった。たとえ学校の目の前にある店へ行く場合でもだ。当時、中野ブロードウェイで、刈上げ頭に背広姿でうろついている若者は、だいたい警察学校の学生だった。

 ところで、学生たちの最高の楽しみを奪う罰ゲームもあった。「外出禁止」である。学生が風邪をひいたり、授業中、特に術科授業中に体調不良を訴えたりしようものなら、週末は外出禁止令であった。「居室でゆっくりしていなさい」というはめになる。また、漢字テストで学校平均以下の点数の者もこれまたアウトとなる。私もやらかしたクチだ。

 警察学校生活では、厳しい授業ばかりではなく、楽しい行事もあった。月1の映画会、1日旅行(遠足)、富士山方面でのキャンプファイヤー、文化祭、帰省休暇、卒業旅行などなどだ。

 今思い返せば、二度とゴメンだと思う警察学校の生活も、古き良き思い出である。

●洋吾(ようご):元警視庁の警察官。交通機動隊や警察署の白バイ隊員を長く務める。運転技術はいまいち、ドジでオッチョコチョイだが、3 年連続で取り締まり件数トップの実績もあり。ブログ「脱公務員の部屋・元白バイ乗り親父の話」を公開中。2022年10月『白バイ隊員 交通取り締まり とほほ日記』を上梓。同書のイラストは同ブログのマスコットキャラクター「ニャンコ白バイ隊」。

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