■オートパイロットが次代のデファクトスタンダードに?
こういう「既成事実」は侮りがたいと思う。アメリカのITベンチャー企業には、最初は違法でも「既成事実を積み上げて新しい常識を作れば勝ち」という文化がある。その典型例がYouTubeで、もとは著作権無視の海賊版動画アップロードサイトだったのに、今や新しいメディアプラットフォームとして隆盛を極めている。音楽配信やライドシェアなど、そういう例がいくつもあるのだ。
実際、テスラのオートパイロットは自動運転レベル3として脱法利用するからいろいろ問題が起きるワケで、素直にレベル2として使ってもその利便性は充分に魅力的。レベル3と誤解させるようなネーミングでユーザーを煽るようなことをせず、正しい使い方を啓蒙すればいいのにと強く思う。
しかし、ひょっとするとイーロン・マスクはもっと壮大なことを考えていて、例えばテスラのオートパイロットを自動運転ソフトのデファクトスタンダードにするとか、そういう途轍もない野望があるのかもしれない。
例えば、インターネットの通信プロトコル(TCP-IP)のように、自動運転ソフトウェア(少なくともそのプラットフォーム)を統一し、「車車間通信」によって相互に安全を確保するようなシステムが構築できれば、人間の運転手をコンピュータに置き換える発想よりソフトウェア処理はずっと楽になるし、ひいてはコストも削減できる。
■自動運転の勝者はどこになるのか?
そういえば、ごく最近のニュースで、アメリカのEV充電規格でテスラの「NACS」が米国標準の座を勝ち取ったというニュースが流れた。これは、典型的な「先にデファクトスタンダードになった者が勝つ」というパターン。自動運転の開発競争でも同じことが起きる可能性は高い。
だからこそ、各方面からの批判を物ともせず、イーロン・マスクはオートパイロットとその発展版である「フル・セルフ・ドライビング」(FSD)の拡販にこだわっている。そういうヨミもできるんじゃないかと思う。
さてさて、テスラのことを書いているとあっという間に字数が膨らんできて、すでに依頼の倍近い文字数4000文字に達しようとしている。
インターネットはあまり長い原稿は読まれないという説もあるので、とりあえずいったんこの辺で一段落。続きはまた後ほどということでよろしくお願いいたします。
【画像ギャラリー】なぜここまでテスラはEVで世界中の市場を席巻したのか?(8枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方アメリカが環境問題に対して消極的な国家のなかで、こうして企業が行動することはとてもよいと思います。jeepにもPHEVが出ましたし、今あるかはわかりませんが数年前にフォードフォーカスにEVがありましたしね。
モデルYなどは「実際に乗ると大したことない」ので全く油断しておりましたが、IDや小規模メーカーのBEVスポーツカーや
IONIQの最新モデルに乗ったら危機感を覚えました。何故なら信頼性や先入観を度外視した場合、同週に試乗したスバルの
ソルテラよりも、動力性能と動的質感、内装、足回りや走らせての楽しさ等、外観デザイン以外の全面で上回っていたからです。
負けじと早くソルテラをアップグレードしてほしい。