ニュル24時間レース完走で、話題をかっさらった
初代C-HRが登場した2016年頃といえば、他社メーカーでは、ホンダヴェゼルや日産ジューク、マツダCX-3など、200万円ほどで手に入るコンパクトSUVが人気となっていたものの、トヨタは、プリウスやアクアなど、ハイブリッド車の拡販に集中していた時代。販売台数も、2016年のトヨタ車1位はプリウスで約25万台、2位は初代アクアで約17万台と、ハイブリッド専用モデルがバカ売れしており、ライズやヤリスクロスのようなコンパクトSUVはまだ存在していなかった。
このコンパクトSUVカテゴリで、ライバルを圧倒するため、トヨタが仕掛けた戦略が、市販前のプロトタイプSUVで、ニュルブルクリンク24時間レースに参戦し、話題をかっさらおうという作戦。他メーカーがやっていなかった「走りを優先したクロスオーバーSUV」を実現させ、一気にライバルに追いつこうというもので、その参戦マシンが初代C-HRのプロトタイプカーであった。
「クロスオーバーSUVでレースに参戦!?」という、当時は無謀とも思えたチャレンジに、(筆者も含めて)面食らった人も多かったと思うが、TOYOTA GAZOO Racingは本気でマシンを用意し、無事完走。
このレースに出たマシンと同じモデルが、しかも、アウトバーンを含む欧州の道路で鍛え上げられたサスペンションを備えつつ、みたことないほどめちゃくちゃスタイリッシュなデザインをまとって市販される、ということで、スポーティカーに飢えていたファンが、こぞってトヨタディーラーへ駆け込む事態となり、トヨタの作戦は見事に成功、初代C-HRは大ヒットした。わずか240万円ほどで手に入った、ということも、初代C-HRが人気となった理由だろう。直接比較できるクルマがないほど、超一級のパフォーマンスと、コストパフォーマンスに優れていた。
代わりとなるモデルの投入に期待したい!!
ここ4~5年のトヨタは、初代C-HRのようにバックストーリーをもたせて販売するという手法をうまく採り入れている。GRヤリスにしても、GRスープラ、GRカローラ、水素エンジンのAE86にしても、それぞれストーリーがあることで感情移入しやすかったし、試乗会でお会いするトヨタ社員が生き生きと語る様子をみると、企業文化自体が改革されてきたのだなと思う。
C-HRのような誰でも買いやすく走りの楽しいコンパクトSUVは、日本人にとってもぴったりなはず。新型C-HRの日本導入がないことは残念だが、その代わりとなるモデルの投入に期待したい。
【画像ギャラリー】キープコンセプトでめちゃくちゃかっこいい… 欧州発表となった新型C-HR(15枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方トヨタにはヤリスクロスとカローラクロスがあるから、C-HRは無くてもいいって考えでしょう。ここ数年で車種整理も進んだから、スバルからのOEMで賄うのもアリかも。
結局、後発の同クラスSUVたちもC-HRを上回る足を持つモデルは出ませんでしたね
とはいえ後席の視界を無視したデザイン優先車、日本では刺さった人以外に売れなくなるのは必然でした
国内販売は先代シビックのように、注文まとまったら逆輸入、という形にすれば刺さった人にだけ行き渡るでしょう