■とにかく高級路線で突っ走ったグラチェロ
そんな系譜から生まれたグランドチェロキーだけに、発売当初のテレビCMはインパクトがあった。ビバリーヒルズを想定したシチュエーションで、一軒目の豪邸の門をロールスロイスが、二軒目をフェラーリが入っていくのだが、三軒目の豪邸の門はなぜか岩が積んであり、そこを新型グランドチェロキーが四駆でよじ登りながら入っていくというものだ。
ロールスロイス、フェラーリとともにグランドチェロキーを並べるのだからすごい。このCMは確か1995年頃、カンヌ映画祭のCM部門で賞を取ったと記憶する。
というように、そもそもグランドチェロキーはデビューからJEEPとしてはかなり高級路線で進んできた。日本ではJEEPのブランドイメージからどうしてもワイルドな方向へ向かってしまうが、このモデルだけはそれだけではないのだ。ラインナップのトップエンドとしてラグジュアリーSUVのポジションをキープし続けている。
■ワイルドさこそがグラチェロの真骨頂!
といった背景を鑑みると今日の進化はとても自然だ。これまでのデザインを現代的に仕上げ、さらなる高級感を醸し出している。ヨーロピアンプレミアムSUVに負けない存在感である。
インテリアもそう。ダッシュボードを覆うレザーやシートのダイヤモンド柄アクセント、細部まで作り込んだウッドパネルやスイッチ類、18スピーカーのMacintoshプレミアムサウンドシステムなど、富裕層が好みそうな仕上がりになっている。
顔を上げると飛び込んでくる屋根の大部分を占めるパノラミックサンルーフもそうだろう。ほかにはない開放感がロングドライブでの癒しを提供してくれる。
ただ、それだけだったらヨーロピアンプレミアムSUVとの差別化はできないかもしれない。1000万円前後のプレミアムSUVへの要求は相当高いからだ。が、グランドチェロキーに関してはそこをもうひとつの軸が引き立ててくれる。そうアウトドア系男子の欲しがる“ワイルドさ”である。
■ルビコンをもクリアする走破性!
そのキモとなるのが、クォドラトラック2の四駆システムだったり、セレクテレインシステムだったり、前後のアングルを稼ぐエアサスペンションだったりする。すべて悪路での走破性を高めるものばかりだ。
とはいえ、最近はこれらのシステムを標準装備するプレミアムSUVは少なくない。かつて独立していたメーカーがグループ化することで技術共有が簡単に行われるようになったのがその理由だ。
だがしかし、グランドチェロキーの電子制御システムは個性的だ。長年JEEPとして鍛え上げてきたノウハウがそこに注入される。「ROCK」「SAND/MUD」「SNOW」といった各モードの精緻なコントロールは彼らの経験からでき上がっている。
JEEPの聖地ルビコントレイルを走れるだけの走破性を現実のものにしているのだ。
■新型プラドやGXもお呼びじゃない?
そんな雰囲気がクルマ全体から醸し出しているのだろう。最近、お笑い芸人「チョコレートプラネット」の長田庄平氏が1200万円でグランドチェロキーLを現金一括購入したと聞いた。しかも購入から1年越しの納車を自身の動画で紹介したという。
JEEPブランド最上級モデルのグラチェロは大人のオトコを虜にさせる魅力を持っているようだ。それは他ブランドにはない本物感と言えるかもしれない。2023年は新型ランクルプラドやレクサスGXが日本導入されるが、それでもクルマとしての魅力はグランドチェロキーに軍配が上がる。
このクルマにはランクルプラドにはないラグジュアリーさがあり、レクサスGXにはないワイルドさがあるからだ。その意味、唯一無二の存在であることは間違いない。
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