■完成度は高いがわかりやすい「存在意義」が欲しい!
新旧を比べた時の進化のほどはよくわかった。クロストレックでも感じたとおり、第2世代のSGPの実力はかなりのものだと思うし、型式は同じでもパワートレーンも進化しているし、2ピニオン式の電動パワステの採用も走りに効いている。見た目も若々しく、全体の完成度はかなり高い。
ところが、それでOK! とならないのがこのクルマの難しいところ。スバルのなかでもいまやクロストレックのほうが販売面でも圧倒的に主役で、インプレッサは例えどんなにクルマの出来がよくても数はそれほど期待できる状況ではない。
それでも、せっかく出すからには何かわかりやすい“存在意義”があったほうがよいことには違いない。一方で、車格の近い競合車に対しても、あえてインプレッサを選ぶわかりやすい理由があったほうがよい。その点で新型は、もう少し何かあるとよい気がするのが正直なところではある。
クロストレックとどちらを選ぶかは見た目の好みだろうが、車高が低く重量やバネ下が軽くなるインプレッサは、走りにおいては有利なことずくめ。実際、クローズドコースではかなりよかったことは言っておこう。その強みを訴求できる、もっと走りに特化した仕様があってもいい気がする。
一方で、競合車に対して物足りなさを感じるのがパワートレーンだ。完成度としては高いことには違いないのだが、パワフルさも燃費もメカニズム的にもいまひとつ印象が薄い。
WRXほどでなくてもよいから、エンジンなりハンドリングなり何からの形で走りをもっとアピールしたほうが、よりインプレッサのキャラが立って存在意義を高められると思う。
●岡本幸一郎の採点チェック
・ハンドリング:8点
・加速性能:7点
・静粛性:8点
・内外装の質感:7点
・乗り心地:8点
・コストパフォーマンス:8点
(TEXT/岡本幸一郎)
■走りはスムーズで仕上がりよし! 欠点は燃費か!?
進化させているが、先代のプラットフォームをキャリーオーバーしており、見た目でもあまり変化が感じられない。が、その是非はユーザーが決めればいい。
試乗はサーキットでのみだが、フィーリングは充分につかめた。新型インプレッサのポイントは「すっきり感」であると言える。アクセルを踏んだ時の加速の仕方はスムーズだ。
先代では若干の振動を伴うような感覚もあったが、新型はそうした余分な要素がない。FFと4WDを乗り比べると、なるほど4WDのほうが加速時のトラクションの掛かり方などがスムーズで気持ちよく運転できるが、FFが物足りないかといえばそんなこともない。
非降雪地帯に居住、ウインタースポーツはやらないというのであれば、FFで充分だろう。
2ピニオン式を採用したステアリング機構は、操作に対してリニア感にあふれていて、応答遅れもなければ、パワー機構によるステアリングインフォメーションのスポイルも感じられない。
段差越えの際にボディが異常にブルッとしたり、大きな横Gが掛かった時にボディが原因で挙動が乱れるようなこともない。実に仕上がりがいいのである。
純正の縦型モニターはちょっと存在感がありすぎで、メカニカルなクルマ好きとしては違和感を覚えるが、操作性や視認性を考えればかなりいいものである。
4WDで300万円を切る価格設定はもはやリーズナブルだといえる。ただし、クロストレックの一般道試乗で、あまりいい燃費ではなかったことから推測すると、インプレッサの燃費にも期待はできないのがネックである。
●諸星陽一の採点チェック
・ハンドリング:9点
・加速性能:9点
・静粛性:8点
・内外装の質感:8点
・乗り心地:8点
・コストパフォーマンス:7点
(TEXT/諸星陽一)
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