■5代目NE型は電気自動車で2026〜2027年デビューが有力!
現行ND型がこの秋ビッグマイナーチェンジをするとなれば、モデルサイクルの長いクルマだけに次期NE型の登場はかなり先になると考えられる。早くて2026年、もしかしたら2027年。次期ロードスターはどんなクルマになるのだろうか?
マツダは2030年までに生産するクルマをすべて電動化すると表明しており、2025年度末(2026年3月)までに新たなBEV(電気自動車)専用プラットフォームとなる「SKYACTIV EV専用スケーラブルアーキテクチャー」を投入する。
とはいえ、2030年時点でBEV比率は25〜40%の計画となっており、半分以上はHEV(ハイブリッド)もしくはPHEV(プラグインハイブリッド)。
また、2030年頃には合成燃料やバイオ燃料が実用化されている可能性もあり、マツダの技術方針として「エンジンを進化させ続けることは重要」との認識を示している。
つまり、次期ロードスターが積むパワーユニットにはさまざまな候補があるということだ。BEV、HEV、PHEV、すべての可能性がある。ただ、メーカーとして「2030年時点ですべて電動化」を掲げているかぎり純エンジン車だけは難しいだろう。
周辺事情に詳しい関係者は「電動車の時代になってもロードスターは残ります。今、まさにいろいろな可能性を追求しているところですが、レースができるクルマにするという方針は社内で共有できているようです」と証言する。
マツダの中期経営計画では、2022〜2024年をフェーズ1、2025〜2027年をフェーズ2、2028〜2030年をフェーズ3としており、次期ロードスターの登場が予想されるフェーズ2は「電動化へのトランジション(移行期間)」と位置付けている。
この期間の後半からBEV専用車の先行導入を始めるとしており、まさに次期ロードスターの登場時期と合致する。一方で、同時期には「新しいHEVシステムの導入」もあるとされており、その可能性も残る。
■ロードスターのこだわりは「純エンジン」ではない
関係者の証言どおり「まだ決まっていない」というのが真実なのだろう。しかし、国内最大規模のロードスターイベントである「軽井沢ミーティング2023」を精力的に取材したモータージャーナリスト桃田健史氏は、自信を持って「BEVになるしかない」と言う。
軽井沢ミーティングはロードスターの開発スタッフや歴代の主査も参加する貴重なイベントとなっており、桃田氏はそこで数多くの開発現場の人たちの話を聞き、確信したというのだ。桃田氏のコメントは以下のとおりだ。
「次期ロードスターはBEVにする以外の方法なないと思います。貴島孝雄さん(初代から開発に携わり、2〜3代目の主査を務めたエンジニア)は、ロードスターは人と人を繋ぐ媒体で、エンジンからBEVに変わっても、人を幸せにする目的は変わらないとおっしゃっています。
歴代の主査もBEV化への抵抗感はなく、むしろHEVで補器類が増えてフロントヘビーになるより、BEVで前後重量配分50:50を実現したほうがいいと言っているほど。
次期型はNA(初代)からND(現行)までの流れに一度区切りをつけて、新しいけど、でも、平井敏彦さん(初代主査)が込めた『ロードスター憲法』は守るクルマにすると開発陣は考えているんです。それにはBEVしかないんですよ」
ロードスターは歴代モデルすべて、GT-RやホンダのタイプRのようにエンジンが主張するスポーツカーではなかった。手頃なパワーで軽快に走る前後重量配分50:50のFRオープンカー。コアなファンもその『憲法』が守られればBEV化も歓迎するはずだというのが桃田氏の見立てである。
軽くしようとすれば、搭載できるバッテリーが減って航続距離は短くなるし、低くてコンパクトなデザインにできるかどうかも気になる。しかし、譲れないポイントが明確であれば、問題解決のために必要な技術も明確になる。じっくり時間をかけて、新たなロードスターを生み出してほしい。
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