脱5ナンバーのプリウスに一石? 燃費と販売で日本一に輝いたアクア
ホンダが、インサイトというHV専用車種に加え、量産小型車フィットでのHV展開をすることにより、世界一の燃費挑戦と合わせ、普及拡大を進めたのに対し、トヨタはアクアというHV専用車をプリウスに加えて誕生させた。
プリウスは、2代目から3ナンバー車となった。とはいえ車幅がわずか25mmほど5ナンバー枠を出る程度ではあったが、これが3代目ともなると車幅は1745mmとなって、自宅車庫などの関係で乗り降りが不便になるなど負の要素が増えたのは事実だろう。
そこに、5ナンバー車のアクアが2011年に誕生した。
プリウスが、3代目で燃費向上のためエンジン排気量を従来の1500ccから1800ccへ拡大したのに対し、アクアはより小柄な車体であることもあり1500ccエンジンを使ったHVであった。
また、同じシステムは海外で販売されるヴィッツに搭載され、エンジン車の他にHVという選択肢をもたらした。
5ナンバー車のHVであるアクアは爆発的な人気を呼んだ。同時に、車体色を数多く、なおかつ独特な色合いを揃えたことにより、街に彩り豊かなアクアが駆け巡ることになった。
また37km/Lの燃費性能を実現し、i-DCDの搭載によりフィットHVに先行された燃費性能を再び逆転し、世界一の燃費性能を達成してもいる。
e-POWERで販売NO.1に! 出遅れた日産が逆襲
一連のトヨタとホンダのHV競争を横目に、フーガなど大柄で後輪駆動向けHV以外に手をこまぬいていた日産が、いよいよ小型車向けHVとして2016年にノートのマイナーチェンジで登場させたのが、「e-POWER」である。
2000年にティーノで限定販売されたHVは、トヨタやホンダと同じようにシステム内容こそ異なっても、エンジンとモーターを併用して走行するパラレル式ハイブリッドシステムを採用していたが、e-POWERは、シリーズ式ハイブリッドシステムである。
シリーズ式ハイブリッドとは、搭載するエンジンは電気の発電のみに用い、走行はすべてモーターで行う方式だ。e-POWERは、2010年に発売されたリーフの技術が応用されている。
e-POWER以前から、シリーズ式ハイブリッドという方式は存在しており、バスなどで利用された例はある。
だが、初代プリウスが誕生した当時は充分な走行性能を乗用車で得られる方式とは考えられていなかった。
ところが、リーフという量産市販のEVを日産が手掛けたことにより、シリーズ式を小型乗用車に用いる道が拓けたのである。
なおかつ、モーターのみでの走行が可能になったことにより、「e-ペダル」というEVならではの運転の仕方が、HVでも可能になった。
そして、このワンペダルによる運転は、ペダル踏み替えによる事故を抑制するといった安全にも資するハイブリッド方式であるとの付加価値をもたらした。
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日本車によるHVの開発競争は、単に燃費を競うだけでなく、車をより安全な乗り物にする道を広げる展開にもなっている。
ここは欧米の自動車メーカーがまだ価値を見出し切れていない側面であり、20年以上に及ぶ日本のハイブリッド技術や電動化への取り組みは、技術的側面で世界を牽引しているとまだいえるのではないだろうか。
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