■車両価格30万円台で買うなら中古MTを選ぶと良いって本当?
例えばスイフトスポーツのようなホットハッチでも30万円から探すことは可能だが、それは15万km近く走っているクルマであったりして、そのまま長く乗れるようなクルマとはちょっと言い難い。
そこで走行距離は5万km以内、純正パーツの供給状況も考えて、年式は2008年以降、つまり15年落ちまでのクルマに絞り込む。
それでも1000台以上のクルマがリストアップされるが、運転が楽しめるかはまた別の問題だ。
そこでMT車に絞り込んでみると、グッと数が絞り込まれると共に意外な車種が浮かび上がってくる。
軽トラックは、カスタムするとなかなかカッコいいし、走りも楽しめるがそれはカスタム費用がある程度必要だから、今回の趣旨からはやや外れるから除外するとして、軽バンなども同様の理由で対象外とする。
30万円台で買えるクルマの中でMTを選んだのは、その予算ではAT車でスポーティに走りを楽しめるクルマは、ほとんどないからだ。
ATで走りが楽しいモデルとなると、ある程度車格に合わせたパワフルなエンジンが必要で、パドルシフトやMTモードなどのスポーティに走れるための装備も必要だ。
しかし、それらは30万円の予算では届かない。ところがMTに乗れる人であれば、30万円の予算でも走りが楽しめるクルマを手に入れることができる。それはなぜか。浮かび上がってきた車種を見れば、ある種の法則があるのだ。
■スイフトスポーツではなく「スイフト」を狙え!?
まずはスズキ・スイフトだ。スズキ・スイフトと言えば、歴代のスイフトスポーツはどれも走りを楽しむクルマ好きに人気のクルマだ。
(編注:2008年式だと、2代目スイフトが該当する)
しかし30万円で手に入るのはスイフトスポーツではなく、普通のスイフト 1.3XGである。
市街地や郊外を走る程度なら1.3Lでも充分だし、パワーが少ない分加速時にはエンジンを高回転まで引っ張って、シフトワークを楽しむことだってできる。
スイフトスポーツなどのスポーティグレードのMT車は人気が高いので、低走行車は値落ちが少ない傾向にある。しかしスポーティではない普通のグレードのMTモデルは、人気が低いので価格が低め。
さらにこうした一般グレードのMT車は、比較的高齢なドライバーがATを嫌って選ぶことも多く、走行距離が少ないだけでなくクルマのコンディションも良好であることが多いのだ。
しかも近所の買い物などに時々使っていた程度で、シートや足回りなどにヘタリが少ない個体も多い。
■フィット・デミオ・マーチ 人気コンパクトカーも予算範囲内で手に入る
次に挙げたいのがホンダ・フィットだ。30万円の予算で狙いたいのはGE系と呼ばれる2代目のフィットで、1.3Lエンジンを搭載したGかAといったグレード。
フィットであればスポーティグレードのRSが人気だ。1.5LエンジンのRSは確かにパワーがあって、フィットをよりキビキビ走らせてくれるが、人気車種とあってMTは価格は未だに高い。
それでも前期モデルのAT仕様ならRSでも人気が低めなのとタマ数も多く、30万円前後でも見つけられる。
だが1.3Lモデルなら、30万円の予算でもさらに高年式低走行でコンディションのいいクルマを見つけやすいのだ。
マツダのデミオもDE系と呼ばれる3代目、しかも1.5Lエンジンでスポーティグレードのスポルトまで30万円の予算で手に入るが、フィット同様スポーティグレードは30万円では個体が少なく、走行距離も多めだ。
13CのMTでも走りを楽しんでいるオーナーは多く、カスタムされた個体や、コンディションのいい個体が見つけられる。
同じ理由で日産マーチの3代目、K12マーチも12SRではなく12Sや12Cなら、コンディションの良いMTが激安で手に入る。
しかも足回りや補剛パーツなど、フットワークやスタイリングをチューニングするパーツは、人気のグレードと共通だから、アフターマーケットには未だに豊富に見つけられる。
つまり走り好きのセカンドカーには打ってつけのクルマたちなのである。凝りすぎてカスタムやモディファイにお金を注ぎ込みすぎないように気を付けたい。