エンジンルームのフード(ボンネット)を軽い力で開けることができ、かつステー(いわゆるつっかい棒)が必要ない「ボンネットダンパー」。欧州車を中心に、国産でも高級車ならほぼ採用されているものの、コンパクトカーにはほとんど見られない装備だ。それほど高価な装備ではないのに、なぜボンネットダンパーは、コンパクトカーに採用されていないのだろうか。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:写真AC、エムスリープロダクション
ステーで固定する必要もなく、ボンネットの開閉が楽チン
高圧ガスが封入されたダンパーの作用により、大きくて重いフードでも軽い力で持ち上げることができるボンネットダンパー。フードを開けたままの状態でステーを使用することなく、その状態をキープできるのもメリットだ。
軽量化が進むいまでも、フードの面積が大きい高級車や大型車のボンネットはかなり重いため、頻繁にボンネットを開け閉めするクルマ好きとしては、ダンパーがあるとかなり楽チン。また、片手でボンネットを支えながらステーで固定するという作業が不要なため、スマートでもある。
ただ、冒頭でも触れたように、ボンネットダンパーの採用は高級車にとどまっており、コンパクトカーではほとんど見られない。ボンネットダンパー自体はシンプルで小さなパーツであるためそれほどコストもかからないような気もするが、なぜコンパクトカーにも採用が広がらないのだろうか。
ボンネットダンパーはエンジンの熱にさらされるため、劣化が早い
高価なパーツではないとはいえ、ステーのほうが価格は安いのは安い。また、ダンパーは構造上、封入されているガスが徐々に抜けていくことで、ヘタリが生じてしまう。ダンパーはリアゲートにも採用されるが、ボンネットダンパーの場合はエンジンの熱にさらされて過酷な環境にあるため、リアゲートのそれよりも劣化は早くなる。
ダンパーの力が弱くなるとボンネットを押し上げることができず、最終的にはボンネットを開けたままキープすることができなくなってしまう。筆者は昔、某ミドルクラスセダンに乗っていたとき、エンジンルームのメンテナンス中にボンネットがゆっくり閉まってきて、怖い思いをしたことがある。ボンネットダンパーが劣化し、重さに耐えることができなくなっていたのだ。
ダンパーが劣化したら交換する必要があるのだが、パーツ代と交換工賃込みで2万〜2万5000円程度かかる(車種にもよるがだいたいパーツ代が5000~1万円、工賃は3000~1万円程度)。それほど高額な修理ではないものの、ステーの場合はこうしたメンテナンスが一切不要であることを考えるとやはりお得感がある。また、コンパクトカーのボンネットは小さくて軽いため、ダンパーを付ける恩恵が高級車ほどないのも、コンパクトカーでボンネットダンパーが採用されていない理由だろう。
コメント
コメントの使い方そもそもボンネットのつっかえ棒にわざわざダンパーを使う必要が無いよね
軽自動車は特に非力な分、1グラムでも軽量化したいのにダンパーなんか入れたらアカンに決まってるw
ゴルフもクラウンもやめちまったじゃないか。