■燃料計もシートスライドもない!
運転操作だけでなく、装備面でもいろいろとめんどいことに気付いた。前述した通り、この頃の360は窓も降りないスライド式だったのだが(昇降式になるのは1963年から)、驚いたのは、シートのスライド機構もないこと(1966年からスーパーデラックスが5段スライドになる)。
シートの位置変更は3段階に取り付け位置を変更できるのだが、極端に小柄な人、大柄な人はガマンを強いられただろう。シートを合わせるというより人がシートに合わせる感じだ。
ガソリン残量を確認するのも一苦労だ。当時のスバル360には燃料計がない。どうするかというと、運転席の足元に燃料ゲージが固定されていて、まずはこいつを取り外す。
それを持ってクルマを降りて、リアのエンジンフード上にある燃料口を開け、そこへ燃料ゲージを突っ込んでガソリン残量を図るのだ。オイルの残量を図る要領だ(1961年後期型からこのゲージが燃料キャップに固定された)。
オイルといえば、スバル360は2ストロークだったので、オイルとガソリンを混ぜて混合燃料を作る必要もあった。給油する前に、ポリタンクなどにガソリンとオイルを入れ(きちんと比率も決める必要があった)、それをガンガン攪拌してから給油したのだ。
その後スバル360はスバルマチックを導入し、オイルとガソリンが分割給油できるようになるのだが、単なる給油にここまで手がかかるとは、若い世代は信じられないに違いない。
というわけで、旧車の手間のかかり方を改めて思い知った。でも手間がかかることが愛情にも繋がることはペットと同じ。家族のように愛された昭和のクルマは、幸せだったに違いない。
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