燃料計もシートスライドもなし!!  始動するのに10の儀式!? スバル360の取説が衝撃すぎだぜ

燃料計もシートスライドもなし!!  始動するのに10の儀式!? スバル360の取説が衝撃すぎだぜ

 実家の物置を整理していたら、富士重工(現スバル)の工員だったオヤジが残したスバル360の取り扱い説明書が出てきた。中をみて改めて感じるのは、当時のクルマの運転は大変だったなあということ。信じられない人のために、ここではその大変ぶりを紹介しよう!

文/ベストカーWeb編集部、写真/スバル、ベストカーWeb編集部

■クルマを発進させるまでに注意書き10項目!

スバル360(最終型)
スバル360(最終型)

 発掘されたスバル360の取り扱い説明書だが、モノクロA5版の80ページ程度の冊子。表紙はグリーンがかった1色刷りとなっている。中面の写真はごく粗いものが2点使われているだけで、その他はすべて趣のある線画イラストだ。冒頭のはしがきに「1961」という記載があるので、サイドウインドウがスライド式だった初期の頃のものだ。

 早速、運転の大変さを紹介したいのだが、まずは「運転操作法」の章にある「始動」の箇所。たかだかエンジンをかけるのに、10項目も手順があるのだ! 要約すると以下の通り。

1:燃料コックレバーを「オン」に
2:チェンジレバーがニュートラルであることを確認
3:キースイッチを1段目まで回す
4:アクセルペダルを約1.5cm踏み込む。必要に応じてチョークも押し下げる
5:スタータレバーを引き上げてエンジンがかかったらすぐ戻す
6:失敗して再始動するときは10秒程度休む
7:始動したらチョークレバーを徐々に戻す
8:始動後数分間は暖機運転
9:チョークレバーを完全に戻し、アクセルを踏まずにエンジンが順調に動くならスタート
10:寒いときはクラッチペダルを踏むとかかりがよくなる

 ひょっとして飛行機でも操縦するのだろうか。でも確かにオヤジは毎朝こうやって勤めに出かけていた。今なら始動なんかスターターボタン一発なのに(泣)。

■取説じゃなくてドライビングマニュアル?

エンジンかけるまでにどれだけ手間かけてんだ!
エンジンかけるまでにどれだけ手間かけてんだ!

 走り出しても油断できない。「走行」という章にもいろいろと注意書きがある。ここも要約してみよう。

1:スタートする前にドアが閉まっているか確認するクセをつける
2:チェンジレバーを1速に。入りにくいときはチェンジレバーを中立に戻し、一度クラッチを踏み直す
3:サイドブレーキレバーを引き上げながら先端のプッシュボタンを押し、そのままレバーを押し下げる
4:アクセルペダルを少し踏み込み、クラッチペダルを徐々に戻す
5:スピードが8~12km/hになったら2速にチェンジ
6:スピードが20~25km/hになったら3速へチェンジ
(中略)
8:走行は3速で行うが、曲がり角や坂道、混雑する場所では2速、1速にチェンジする
9:半クラッチでの空ぶかしは絶対避ける。走行中クラッチペダルに足を載せておくのもよくない

 当時は初めてクルマを運転する人も多かったのだろう。ダブルクラッチのやり方やシフトタイミング、制限速度まで書かれている。これはもうクルマの取説じゃなくて、立派なドライビングマニュアルじゃないか。

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