自宅はもちろん、クルマでのお出かけとなれば、目的地や道中での立ち寄り先などでも必ず必要となるのが“駐車”。ところでみなさんは駐車するとき、前向きと後ろ向きどちらでクルマを停めています……?
文/井澤利昭、写真/トヨタ、写真AC
■なぜ日本は後ろ向き駐車が一般的!?
枠線などで仕切られた一般的な駐車場にクルマを停める場合、前進しながらその枠内に入る「前向き駐車」か、駐車枠の前にあるスペースでいったんクルマを切り返し、バックで停める「後ろ向き駐車」のどちらかを選ぶことになる。
このクルマの停め方、ドライバーにとってはあまりに日常的で、どっち向きで停めているかを意識していない人も多いかと思うが、地域によって多少の差こそあれ、日本国内においては駐車場に停まっているクルマのほとんどが「後ろ向き駐車」になっているといわれている。
確かにショッピングモールや大手スーパーなど、数多くのクルマが並ぶ大型の駐車場を見回せば、一部の例外を除き、ほとんどクルマがフロント側を出庫口の方に向けて停まっていることは一目瞭然だ。
駐車する向きが特に指示されているわけでもないにもかかわらず、なぜ日本では「後ろ向き駐車」が多いのか?
「みんなが後ろ向きで停めているから……」という、日本人らしい「右にならえ」の考え方もあるかもしれないが、どうやらそれだけが理由というわけではないらしい。
その理由のひとつと考えられているのが、日本ならではの狭い駐車場事情だという。
■日本の狭い駐車場でも安心&安全!? 「後ろ向き駐車」のメリットとは?
「後ろ向き駐車」が日本で多い理由は、そのメリットを考えると合点がいく。簡単にいってしまうと「後ろ向き駐車」は「前向き駐車」と比べて狭いスペースでも比較的安全に駐車をすることができるからだ。
これにはクルマが曲がる際に起こる内輪差が大きく関係している。現代のクルマでは、ほぼすべてがフロントタイヤを動かすことでその向きを変える“前輪操舵”が採用されている。
だが、狭いスペースで曲がりながら「前向き駐車」をしようとした場合、内輪差によって隣に停まっているクルマと接触してしまう危険がある。
要するに「前向き駐車」をするためには、ある程度の広いスペースが必要であり、狭いスペースに前向きで停めるためには何度も切り返しが必要になるというワケだ。
いっぽうバックで駐車する「後ろ向き駐車」の場合は、内輪差が生じないため、少々狭いスペースであっても1~2回の切り返し程度で駐車することが可能。
これは出庫時も同様で、バックで出庫する「前向き駐車」では数回の切り返しが必要となる狭い駐車場でも、「後ろ向き駐車」であれば切り返しなしで出庫することができることが多い。
加えて前進で出庫できるため、どうしても死角が多くなるバックでの出庫と比較して安全性が高いというメリットもある。
最近ではバックカメラやパーキングセンサーなどを標準で備えるクルマも増えてきており、こうしたアシスト機能の充実も「後ろ向き駐車」が日本で主流となっている理由のひとつかもしれない。
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