警視庁に在籍した33年間中、実に22年間もの日々を白バイに捧げた元警察官の洋吾(ようご)氏。取り締まり件数において3年連続で警視庁トップに輝き、警視総監じきじきの表彰も受けた伝説の白バイ隊員だ。洋吾氏の警察時代の悲喜こもごも、厳しくも「とほほ」な日常を綴った著書『白バイ隊員 交通取り締まり とほほ日記』も上梓(小社刊)。
今回は、上から目線に罵詈雑言、サイン拒否、果ては警察本部へのクレーム直電まで!? 「泣く子も黙る白バイ乗り」と思いきや、氏が体験した違反者取り締まりのとほほなエピソードをご紹介。
文/洋吾、写真/Adobestock(メイン写真=Norman01@Adobestock ※画像はイメージです)、ベストカー編集部
■ひたすら耐えるべし! 罵詈雑言にサイン拒否 ざんねんな違反ドライバーたち
違反者の中には、かなりの上から目線で、罵詈雑言を浴びせてこられるお方がいる。
こういう方は、相手が若造だと見るとさらにエスカレートするようで、私も若い頃、経験させられたことがある。
だいたい、そのような違反者の方というのは、人生経験豊富な年配の方だ。職業では弁護士、医師の方々などに多かったと思う。特に弁護士様には鍛えられた。
まあ、私としては何を言われようが、とにかく切符にサインさえしてくれればよいので、ひたすら我慢の子で通す。
ただ、弁護士の方とは毎度のことながら残念な結果が多かったと記憶している。はなから超高層ビルの最上階から見下ろすような目線で、完全にガキ扱いされ、サインに応じるなど論外だった。
それでも仮納付書(反則金の振込用紙)はしっかり受け取って行った人もいたので、これはこれで貴重な1件と思うしかなかった。
ちなみに青切符の場合、サイン拒否(正確には署名拒否)を行っても、違反者が現場で仮納付書を受け取って帰り、後に反則金を納付期限まで(1週間ほど)に納付すれば何も問題ない。
また仮納付書のない赤切符の場合もちゃんと指定日に出頭すればOKだ。
サインを拒否しつつ、仮納付書は受け取って帰るというのは、サインを拒否されると警察官が困るのをよく知っている、法令に精通している人やベテラン違反者がよくやる対応で、取り締まった警察官に対する嫌がらせなのだ。
サイン拒否、すなわち署名拒否は、否認事件と同じ書類作成が必要となるからだ。
「サインをしないのなら、仮納付書は渡さない」なんて、強硬手段に出てしまうブチ切れ警察官もいたけどこれは間違い。違反者が拒否しない限り、手渡すことになっている。
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