■BYD販売店に取材!! ATTO3はどのようなユーザーが購入しているのか?
BYDのATTO3は、どのようなユーザーが購入しているのか、BYDの販売店に尋ねた。
「ATTO3のお客様は、皆さん環境技術に関心が高い。バッテリーメーカーの時代からBYDをご存知で、電気自動車の生産を開始して購入を考えた方が多い」。
環境技術に関心が高いなら、以前からリーフなどに乗ってきたのか。
「リーフなどを使用していたお客様は意外に少ない。初めて購入した電気自動車がATTO3というお客様が目立つ。しかも都市部の販売店では、マンションに住んでいるお客様が多い。
一般的には、一戸建てでないと自宅に充電設備を持ちにくいといわれるが、今は公共施設やショッピングセンターの急速充電器も増えた。集合住宅に住んでいても、電気自動車を使える環境が整ってきた」。
BYDのATTO3が好調に販売されている決め手は何か。
「電気自動車は新しいカテゴリーで、お客様も先進環境技術に対する関心が高い。そこで新興メーカーのBYDが期待されている。
また国産メーカーは電気自動車をあまり用意せず、購入するなら輸入車、という認識も広がっている。そしてATTO3は、価格が安く、コストパフォーマンスを重視するお客様にも喜ばれている。」
■EVならリーフなどの国産EVよりも有利! BYD・ATTO3の隠れた実力とは
BYD・ATTO3は、全長が4455mm、全幅が1875mmのミドルサイズハッチバックだ。
モーターの最高出力は150kW(204馬力)、最大トルクは310Nm(31.6kg-m)で、動力性能に余裕がある。駆動用リチウムイオン電池の容量は58.56kWhで、1回の充電により、WLTCモードで470kmを走行できる。
装備も充実しており、衝突被害軽減ブレーキ、後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットインフォメーション、車間距離を自動制御できる運転支援機能のアダプティブクルーズコントロール、さらに開放感のあるパノラマルーフなども標準装着される。
これだけ内容を充実させて、価格は440万円だ。申請を行うと、経済産業省から85万円の補助金も交付される。
この金額を差し引くと、実質355万円だ。地域によっては、経済産業省とは別に自治体から補助金を受け取れる場合もあり、そうなればさらに安く手に入る。
ちなみにリーフの全長は、ATTO3とほぼ同じだ。全幅は1790mmだから少し狭いが、同じカテゴリーに含まれる。そして60kWhのリチウムイオン電池を搭載したタイプであれば、WLTCモードで450kmを走行できる。
この60kWhを備えたリーフのグレードと価格は、ベーシックなe+Xが525万3600円で、上級のe+Gは583万4400円だ。経済産業省による補助金は85万円だから、e+Xで交付額を差し引いても約498万円になる。
ATTO3は価格が440万円で、85万円の補助金を受け取ると実質355万円だから、リーフe+Xよりも143万円安く、しかも装備は充実している。ATTO3ではこの割安感が決め手になった。
ATTO3の売れ行きが目立つのは、2023年1月以降だから、今後の人気度は未知数だ。それでも注目される販売動向ではあるだろう。
リーフやサクラを見れば、日本メーカーの電気自動車技術は相応に高いと考えられるが、現実に購入できる車種が少ない。優れた開発能力を備えていても、手に入る電気自動車が少なければ、それは実績にならない。
電気自動車の販売面では、日本車が輸入車に負けている構図も見られ、ATTO3の人気はその象徴と考えられる。
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