日産マーチはなぜ凋落したのか? かつて最も愛されていたのに

■新型マーチの登場はあり得るのか?

 (現時点では)可能性はごく低いと考えられる。

 なぜなら、日産が「デイズ」開発を通して、軽自動車を経験してしまったからだ。

 小さなボディで高収益かつ、販売台数も稼げる「おいしい」軽ビジネスを、日産は今後も見逃さないだろう。軽自動車に物足りない人には、その上の「ノート」をお薦めすればよいのだ。

 欧州で販売している魅力的なK14「マイクラ」の日本登場も、可能性は低い。K14は欧州で戦うことを前提としたため、ベンチマークはVWポロであり、ボディサイズもK13に対して大きく、全幅1,743mmと、現行ノートの1,695mmよりもずっと大きいのだ(※ポロは全幅1,750mm)。「マイクラ」という名前であっても、ヒエラルキーはノートの下ではなく同等以上に位置するクルマであり、たとえK14を出しても、顧客を喰い合うことになってしまうだろう。

2017年に欧州にて発売されたマイクラ。スタイリッシュで走行性能の評判も高く、「日本で発売してほしい」という声は大きいが…

 サニー、パルサー、セドグロなどと同様に、マーチほどの有名ブランドを「生き殺し」してしまった日産は、非常に罪深い。「ブランドの復活」というキーワードを使ってリニューアルさせる戦略もあるが、日産自身が「クルマは安さだけでなく魅力で選んでもらう」という本来の意思にならないとK13の二の舞だ。

■まとめ

 もしもマーチを復活させるならば、ルノートゥインゴあたりをOEMしてもらったらどうだろうか。

 トゥインゴはボディサイズも小さく、キャラクターも非常に面白いクルマであるので、十分話題にはなるであろう。

ルノー・トゥインゴGT。リアエンジン・リアドライブの独創的なレイアウトで、非常に評判が高い

 そして大切なのは、魅力が落ち切る前に「磨く」ことだ。10年スパンでモデルチェンジすることは決して悪ではない(設備更新をせずに売れ続けるのは最も効率良いビジネスだからだ)。

 悪いのはせっかく生み出した商品に手をかけないことだ。

 e-POWER化や、先進安全技術の追加でもよいし、〇周年記念車でもよい。いっこうに更新されないマーチのホームページを見ていると悲しくなる。

 モデルライフの最後まで、しっかりとクルマに「愛情」をかけて、商品を育てるメーカーこそが生き残る時代ではないだろうか。

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