ハリアーやレクサスといった高級車はもちろんN-BOXなどの軽自動車にまで採用されていた流れるウィンカー。でも今やほとんど見かけることが少なくなった印象。あんなにはやったのに一瞬で時代が変わったのは一体なんで!?
文:佐々木亘/写真:ベストカーWeb編集部
■トヨタとレクサスが先陣も新型モデルは採用されず……
2014年の保安基準改正で、連鎖式点灯方向指示器として正式に認可され、シーケンシャルウィンカーを純正装備として採用するメーカーが増えた。
国内メーカーではトヨタの動きが早く、レクサスRXやC-HRが早々に採用する。次いでクラウン・ハリアー・アルヴェルやNX・LX・ESなど、上級モデルの定番装備となった。
しかし導入から9年が経過する今、シーケンシャルウィンカーを備える新型モデルが減ってきている。
とくに国内の先陣を切ったレクサスでは、ほとんどすべてのモデルに採用していたシーケンシャルウィンカーを、モデルチェンジや年次改良で廃止してきた。
注目の新型SUVとして登場したUXには未採用。あれだけ騒がれたRXやNXでも採用をやめており、現在ではLSに残るだけである。
たった10年弱で、盛り上がりを見せたシーケンシャルウィンカーが、ここまで下火になったのはなぜなのか。ユーザーの声を聞いてみた。
■特別感薄れたのが要因!? それでも5年で廃れるのは異例
2014年から15年にかけて「レクサスではシーケンシャルウィンカーが出ないのか?」と、数多くのオーナーに聞かれたことを筆者は思い出す。
期待通りに登場してきた先代RXでは、シーケンシャルウィンカーが採用された。
しかし上級グレードのversion LとF SPORTに限定され、ベースグレードではどうやってもシーケンシャルウィンカーを選択できない。
シーケンシャルウィンカーを装着するグレード格差に対して、かなりの文句を言われたものだ。
2020年にかかるころまで、シーケンシャルウィンカーの存在は特別なものだった。
一部ではトラックみたいでカッコ悪いという意見もあったが、概ね好意的に受け止められ、高級や上質を意味するアイコンになっている。
流れが変わり始めたのは、N-BOXにシーケンシャルウィンカーが採用されたころ。軽自動車にもついにシーケンシャルウィンカーが採用されたと話題になったが、このころからシーケンシャルウィンカーへの眺望は勢いを鈍化させていく。
あれだけカッコいい、付けたいと言われていたシーケンシャルウィンカーは、やはりトラックのようでダサい・カッコ悪いとユーザーから批判を受けるようになる。
流れるウィンカーにしたくて買い替えたクルマを、ダサいから買い替えるといって、シーケンシャルウィンカーの車種を避けて乗り換えるユーザーも出てくるほどだ。
自動車ではいろいろな流行り廃りがあるものだが、わずか5年余りで、ここまでユーザーの嗜好が真逆に変化する装備も珍しい。
ディーラーでは最近、シーケンシャルウィンカーを搭載した車種からの乗り換え要望が多くあるようだ。
逆に、当時シーケンシャルを選べなかった(選ばなかった)ユーザーは、比較的長く1台のクルマを愛用しているという。
コメント
コメントの使い方