今さら聞けないハイブリッド 素朴な疑問

今さら聞けないハイブリッド 素朴な疑問

 なんとなくハイブリッド車がこれほど一気に普及した今となっては、「あれれ!? 実はよくわかっていないんだけど、今さら聞けないよなぁ……」という素朴なギモンがあるのではなかろうか!? 

 ここでは、そんな皆さまのハイブリッドにまつわるギモンを解き明かしていきたいと思います。


 Q、「パラレルハイブリッドとシリーズハイブリッドの区別がよくわかりません。プリウスはどっちなのでしょう!?」

 A、「シリーズとは直列の意味。ハイブリッドシステムの場合は、エンジンは専ら発電用にのみ使用し、駆動力はモーター動力によってのみ行うシステムを指します。国産乗用車でこのシリーズハイブリッド方式を採用するものはありません。

 商用車ではトヨタコースターEV、大型バスの三菱ふそうエアロスターHEVなどがこの方式を採用。鉄道が好きな人だったら、電気式ディーゼル機関車が、このシリーズハイブリッドに近いシステムだと思えば理解しやすいでしょう。

 いっぽうパラレルは並行の意味。つまり、エンジンとモーターの駆動力をどちらも使おうというシステムです。これにはいろいろな方式があり、例えば日産マーチなどが採用するe-4WDなども大きなくくりではパラレルハイブリッド。ホンダのIMA方式やスカイラインなどに搭載する日産のハイブリッドシステム、スバルXVなどもパラレルハイブリッドとなる。

 ではプリウスはというと、広義ではパラレルハイブリッドとなるのですが、モーターとエンジンの駆動力を動力分割機構を用いて適宜配分することから、「スプリットハイブリッド」と呼ばれる場合もあります」

 Q、「リチウムイオンバッテリーがニッケル水素バッテリーに比べて優れているのはなぜ!?」

 A、「電池の技術は日進月歩。日々急速な勢いで進化をしています。ニッケル水素よりもリチウムイオンが優れているとされるのは、なによりも充放電効率が高い、すなわちエネルギー効率に優れているという点です。

 ハイブリッド車の場合、減速時のエネルギー回生でバッテリーを充電したいのですが、充電効率が高くないとせっかく発電した電気が入っていかない。その場合は熱として放出するしかなくもったいない。ニッケル水素よりもリチウムイオンのほうがその効率がいいのです。

 だったら、なぜトヨタはニッケル水素を使うのか!?

 ひとつには信頼性があります。リチウムイオンバッテリーはデリケートで製造時のちょっとした衝撃やダストなどでトラブルを発生する危険性がある。これはi-MiEVやアウトランダーPHEVのバッテリートラブルで記憶に新しいところです。品質管理もシビアになり、それに比してコストも高くなる。

 コストと信頼性はリチウムイオンバッテリーの大きな壁となっているのです。トヨタはハイブリッド車の生産台数が多いので、そのぶんコストアップにはシビアになるし、万が一のトラブル発生時に対応する台数も大きくなる。そのため、リチウムイオンの採用に慎重なのです。

 ただ、エネルギー効率に優れるリチウムイオン電池を使うことで、モーター稼働領域を広げることができるので、そうなるとさらに燃費が大幅に伸びる『伸びしろ』を持っているので、まだまだトヨタのハイブリッドは燃費が向上するでしょう」

アコード用のリチウムイオンバッテリー。
アコード用のリチウムイオンバッテリー。
クラウンマイルドハイブリッドのエンジン。
クラウンマイルドハイブリッドのエンジン。

 Q「軽自動車にトヨタ式のハイブリッドがないのはなぜ!?」

 A、「これは上でも触れているように、重量増加によるデメリットが大きい、という理由があります。駆動用バッテリー、2つのモーター、インバーターなどの制御系統を搭載することで、プリウスクラスだと100〜120㎏の重量増加が避けられません。小さく軽いボディが身上の軽自動車に重いハイブリッドシステムを無理矢理載せても、ハイブリッド化による燃費向上と、重量増による燃費悪化要因がバランスされないということです。

 また、コスト面も無視はできません。ハイブリッド化で30万円高くなると、軽自動車の魅力は一気に小さくなる。だったら、ダイハツのイーステクノロジーのような軽量化で燃費を高めていく手法や、スズキのS‐エネチャージのような方法が軽自動車にはマッチしているのだ」

 Q、「バッテリーの寿命って。結局どんなもの!?」

 A、「電池の劣化は充放電の回数に依存するもの。ハイブリッド車での使われ方はもの凄くシビアコンディションなのだ。それでも、最近のハイブリッド車のバッテリーは車齢と同じと考えていいようだ」 

 今後ますますハイブリッドは進化する。期待しよう!!

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