セダンじゃなくても健在!! 新型センチュリーにも受け継がれた技術が感涙モノ

セダンじゃなくても健在!! 新型センチュリーにも受け継がれた技術が感涙モノ

 センチュリーは半世紀以上も前から、日本のショーファーカーがどうあるべきかを考えてきた。2023年9月6日には、新型「センチュリー」を発表した。それらが持つ魅力を裏打ちするものとは何なのか。そしてこのモデルが持つ気品にもスポットを当てていく。

文/佐々木亘、写真/TOYOTA

■しつらえがテーマ!! 平安時代から続く日本の美を体現

現行型センチュリー(全長5335×全幅1930×全高1505mm/車両価格:2008万円)
現行型センチュリー(全長5335×全幅1930×全高1505mm/車両価格:2008万円)

 日本の美を貴び、伝統を織り込むセンチュリーにぴったりな言葉は「設え(しつらえ)」だ。

 設えとは、古来、晴れの儀式の日に寝殿に調度類を整えることを指した。寝殿は、貴族の屋敷の中でも、屋敷の主人が居住する場所だ。

 中学校で平安時代の歴史を学ぶ際に、寝殿造りという言葉が出てきたと思うが、まさにこのこと。

 寝殿造りは、自然との調和を重視し、上品さや繊細さを特徴とする。

 長い廊下で各部屋が囲われ、屏風やすだれで仕切られた部屋や、四季を感じる樹木や池があり、当時の貴族階級の美意識を生み出し育んでいった。

 センチュリーの車内は、まさに寝殿であり、そこへ調度品(装備)を設える。

 これがセンチュリーの原点であり、いつまでも変わらない価値にもつながっているのだ。

 センチュリー、ひいては日本の美は、単純明快な豪華絢爛さでは片づけられない。

 欧米の大豪邸にある広いリビングに高級家具が並ぶ部屋には圧倒されるが、美を貴ぶ日本の心とは少し違う。

 限られた広さの中に、寝殿と調和する調度類を「整える」のが、古くから大切にされてきた「美」である。これを現代に体現するのがセンチュリーだ。

 欧米のショーファーカーとセンチュリーは、洋館のリビングと寝殿造りの座敷ほど違うもの。

 センチュリーは明確に座敷を向き、日本が醸成してきた気品を表現している。

■センチュリーが持つ古の技術を昇華する現代の技術とは何か

センチュリーの内装は、洗練されたデザインとなっている。後席に乗るVIPがどう感じるかを徹底的に研究し続けてきたことで、安定性と静寂性を高次元で実現させている
センチュリーの内装は、洗練されたデザインとなっている。後席に乗るVIPがどう感じるかを徹底的に研究し続けてきたことで、安定性と静寂性を高次元で実現させている

 センチュリーは、エンジン、サスペンション、シートや内装機能といった、クルマにとって必要な部分の作り込みが非常に高い精度で調和している。

 走る・曲がる・止まるという、クルマの基本的な動きに対して、後席に乗るVIPがどう感じるかを徹底的に研究し続けてきた。

 その結果、安定と静寂を高次元で生み出し、日本を代表するショーファーカーとなる。

 しかし、センチュリーに込められた技術はこれだけではない。

 キーワードは設え。クルマ全体が調和していなければ、センチュリーではない。

 そこで、高性能な車体に日本的な調和を生み出す。実現するのは、古くから受け継がれてきた職人の魂だ。

 例えば、センチュリーセダンのサイドボディに走る1本のキャラクターライン。

 遠目には1本に見えるラインだが、これは2本の線を角として研ぎ出し、線の間に生まれるわずかな隙間に面処理を施す。

 平安時代の屏障具の柱にあしらわれた技法で、これを几帳面という。

 フロントグリルや時計の文字盤には、円満や財産、子孫繁栄などを表す七宝文様を施し、後席折り上げ天井には卍を組み合わせた紗綾(さや)形崩しを用いる。

 どちらも吉祥柄といい、皇族や武家に好まれてきたものだ。

 世界基準に合わせれば、メッキの大きなグリルや革張りの内装の方が豪華に見える。

 几帳面や吉祥柄は、見方によっては高級から大きく離れたようにも見えなくもない。一見すると無駄なこだわりのようにも感じられてしまうだろう。

 しかし、このような設えがなければセンチュリーは調わない。一つ一つの技術や技法に意味を持たせ、その意味が通じた瞬間に、センチュリーは一つ格を上げていく。

 古来より日本では、時代時代で独自の文化を生み出してきた。センチュリーもまた、現代に残る文化の一つである。

 文化を感じ、気づくことが、日本独自の最上級を体感することにつながっていくのだ。

次ページは : ■新型センチュリーでも健在! セダンよりもっと充実させたコンセプトとは?

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