新型SUV、レヴォーグレイバックが誕生したばかりのスバルだが、国内販売の現状は芳しくない。その理由はどうやら魅力的な電動パワートレーンがラインナップされていないからだと国沢光宏氏は指摘する!
文/国沢光宏、写真/ベストカーWeb編集部、スバル
■コロナ禍前よりも国内では25%以上も販売減
スバルの売れゆきが厳しい。トヨタや日産、ホンダなどの納期を見ると、半導体不足のため軒並み半年以上。トヨタは半分以上の車種が商談すら停止しているほど。なのにスバルを見ると納期は長くて3カ月。
2023年1~9月の販売台数は半導体不足になる前の2019年1月~9月の台数より25%以上減った6万2000台。作れないから売れないんじゃなく、純粋に売れていないワケ。
理由は簡単。魅力的なパワーユニットを持っていないからだ。今や燃費のよさとパワフルさを両立しているハイブリッドじゃないと売れない。トヨタも日産もホンダも売れ筋車種はすべてハイブリッドである(マツダの場合はディーゼル)。そんな時代にハイブリッドなしで勝負しようというのだから無謀(笑)。かといってハイパワーエンジンで商品力を出そうとしてもCAFEでダメ。
CAFE(企業平均燃費)をクリアしないと国交省は認可を渋る。そんなことからパワフルなエンジンを載せることすらできないのだった。今や遅くて燃費悪いモデルばかり。
■スバルが燃費対策に出遅れたワケ
なぜ出遅れたか? こらもう簡単。2012年から2017年までスバルの技術本部&研究所のTOPだった武藤直人さんという人が、パワーユニットの重要性についてまったく理解していなかったからだ。
当時、すでにCAFEは見えていたし、トヨタ以外もハイブリッドを真剣に開発していた。何度か武藤さんにパワーユニットの件を聞いてみたけれど、暖簾に腕押し、馬耳東風。興味持たず。
アメリカは古いパワーユニットでまったく問題なく、日本市場についていえばアイサイトがあれば売れると言明していた。唯一取り組んだのが、FB20エンジンにTHSIIのシステムを組み込んだPHEV。
アメリカでは一定比率のPHEVを売らなければならない法規があり、それに対応すればいいという判断である。先代クロストレック(日本名XV)にPHEVユニットを搭載し、アメリカで2019年から販売したのだけれど、売れず。電気自動車での走行距離20km程度しかなく、性能と価格のバランスが極端に悪かったからだ。PHEVじゃなくてハイブリッドならよかったかもしれない。
ちなみにTHSIIなのでトヨタの技術を使っている。横置き用を縦置きに組み込んだんだから、スバルの技術力はタイしたもんだと思う。ただ、やる気がなく販売目標台数も少なかったので高コスト。
この時に武藤さんがもっと踏み込んでいたら、エンジンをFB20から新世代のCB18をベースにしたハイブリッドを2020年のレヴォーグで投入出来ていたことだろう。
もちろんエンジンの開発部門はハイブリッド化を想定しており、CB18って前後長を短くして、モーターを組み込める。どうやらスバルの技術部門のTOPが藤貫哲郎さんに変わってからフルダッシュで開発に取り組んでおり、2025年には市販できる見込みらしい。
とはいえ現時点だとアメリカ市場向け。日本市場についてアナウンスはなし。ただ、日本でも売ると思います。
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