■2035年頃に巨大な構造変化を生み出す
新たなBEV専用生産技術は、次世代BEVには積極的に展開します。しかし、専用化はクルマが売れれば生産性の高さを享受できますが、諸刃の剣でもあります。
モデルライフを通じて必ず生産変動があるもので、リアルな会社経営においては工場の稼働率をいかに維持していくかが課題です。
トヨタの強みである混流生産ラインは生産モデルを柔軟に変動でき、稼働率を維持しやすいものです。
従来の混流ラインとうまく混合させながら、安定的で柔軟な経営を維持することも大切な議論です。
トヨタの計画において、BEV販売台数は2026年150万台、2030年350万台です。
次世代BEVは350万台のうち170万台に過ぎませんので、全体生産台数に占める比率は2030年においてはわずかに15%程度に留まります。
ところが、2035年にはほとんどのBEVは専用ラインで製造する次世代車に移行していきます。
パリ協定で目指す気温上昇1.5℃以内のシナリオに準拠していくにはトヨタ5~6割のBEV販売比率が求められます。
その時、トヨタのグローバル生産台数の半分はアンボックストのパラレル・シリアル工法に世代交代していく未来図が見えます。
2030年までの変化は穏やかですが、2035年頃には巨大な構造変革を生み出す公算です。自動車産業のモノづくりはまったく新しい次元を迎えるわけです。
●中西孝樹(なかにしたかき):オレゴン大学卒。1994年より自動車産業調査に従事し、国内外多数の経済誌で人気アナリスト1位を獲得。著書多数
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