2024年には初代登場から50年を迎える、フォルクスワーゲンゴルフ。ハッチバックというジャンルを定番化させた。長年愛され続ける名車ゴルフの誕生秘話をお届け。
文/西川昇吾、写真/Volkswagen、Renault、佐藤正勝
■ハッチバックの原型はルノー4にある
自動車の起源をたどると馬車に行き着く。セダンやクーペといったボディスタイルは馬車からの流れだ。
いっぽう、自動車となってから誕生したボディスタイルやジャンルも存在する。歴史があるハッチバックスタイルも自動車が誕生した後に出来たボディスタイルだ。
そしてこのハッチバックというジャンルを定番にしたのがフォルクスワーゲンのゴルフだ。
Cセグハッチバックは今でも「ゴルフクラス」と呼ばれることが多く、このクラスは、どのモデルもゴルフに追いつき追い越せで開発していると言える。
ハッチバックで成功を納め、ハッチバックが広まるキッカケとなったのはゴルフであるが、ハッチバックというボディスタイルを作ったのはゴルフではない。
1961年に登場したルノー4(キャトル)が現代のハッチバックの原型と言われている。
ただ、ルノー4もFFのパワートレインに室内空間を広く取ることを意識したハッチバックスタイルと現代のハッチバックの原型といえるパッケージをしている。
■ゴルフはビートルの後継車? デザインと実用性、走りの良さで大ヒット
ルノー4も成功を納めた訳だが、ゴルフが登場したのはそれよりも10年以上後となる1974年のことだ。
なんでそんなに後になったか? というとそれまで大衆車としての役割は、第二次世界大戦記から作られていたビートルが担っていたという部分が大きいだろう。
ビートルの古さが目立つようになり、その後継車としてゴルフは開発されたという背景が大きい。
「ちょっとまてまて、RRで2ドアのビートルとFFで3・5ドアハッチバックのゴルフじゃ全然後継と言えないじゃないか」
そんな声が聞こえてきそうだが、国民車として時代に合わせた実用性がFFハッチバックというゴルフのパッケージを作ったのだ。
ビートルがRRで室内空間を確保してリアシートを用意し、フロントにトランクルームを用意したように、時代の移り変わりと共にFF車に対する技術が発達して室内空間と荷室を確保するのに最適で、価格も安くできる手段はFFハッチバックという回答に至ったという訳だ。
このように合理的な理由からFFパワートレインにハッチバックというパッケージで登場したゴルフ。
このような背景だけ聞くとつまらないクルマに思えてしまうかもしれないが、ジウジアーロデザインを採用した初代ゴルフはデザイン面でも高い評価を受けた。
コンパクトカーとは思えない広い室内空間が生み出す実用性、アウトバーンの走行にも耐える走行性能の高さ、斬新なデザイン、これらが理由となりゴルフが大ヒットとなる。こうしてハッチバックというボディスタイルを定番として確立したのだ。
ハッチバックボディ、FF、フロントストラット、リアトーションビームというパッケージは今日でも多くのコンパクトカーで採用されている。ゴルフが無ければ今ある多くのコンパクトカーは誕生しなかったかもしれない。
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