ずれるのは、生産台数の見通しを立てるため
新型車の発表と発売の時期にずれがあるのには、クルマの最終調整や仕向地ごとの造り分けなど、さまざまな理由があるだろうが、自動車メーカーが生産台数の見通しを立てたい、と考えていることも理由だと思われる。
新型車にはたいてい、目標生産台数が設定されている。
これくらいは売りたい、それだけの生産キャパシティを確保する、というものだが、思惑が外れて受注がまったく集まらなかった場合、「ヒト、モノ、カネ」に多大な無駄が生じてしまう。
事前に生産台数の見通しがたつと、必要となる部品数がある程度分かり、無駄のない生産計画を組むことができ、無駄が減れば、全体にかかるコストを削減できる。
コロナ禍においては、ロックダウンで海外からの部品供給が滞ったが、こうした場合にも早期に打開策を打つことができる。
また、ティザー画像から、正式発表、事前予約、発売開始と、そのたびに新車の情報を小出しにして何度も話題を世間に投下することで、市場を刺激する戦略としても使える。
発表と同時に発売開始という従来通りのやりかたも、実車をディーラーですぐに触れてみることができるというメリットはある。
だが、昨今の新車マーケティングでは、自動車メーカーにとってより都合のいい、ティザー写真から始まる一連の流れがトレンドになっているようだ。
販売現場では混乱もあるようだが、今後もこの方針は続く見込み
ただ、販売現場においては混乱もあるようだ。以前話を聞いたディーラーの販売担当者は、まだ見ぬ商品を熟知したように説明し、顧客に納得してもらわなければならないことが辛いと話していた。
実車も、発売直前(少なくとも1ヵ月前)にならないと配備されないため、発表の情報にふれたユーザーから、なぜ実車がないのかと文句をいわれることもあるそうだ。
これまでが発表と同時に発売となるケースが多かったため、混乱もあるようだが、無駄がなくなることでコストが下がるのであれば、今後もこの方針が採られていくのだろう。
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