■N-VANならではの容量の多さが良い! 航続距離の差はどうなる?
そして肝心の航続距離だが、ミニキャブ・ミーブは16kWhのバッテリーで133km(WLTCモード)となっている。実質的には100km程度が実用上の限界と言えそうだ。
それに対してN-VAN e:は210kmを目指して開発中というから、実質150km程度は使えそうだ。冬場は暖房でさらに航続距離が縮まるので、この差は大きい。
最大積載量はミニキャブ・ミーブが350kgと軽トラと同等を確保しているのに対し、N-VAN e:は300kg(2シーター仕様は350kg)となる予定だ。
この差は単純にバッテリー搭載量の違いによる車体重量の違いと思っていいだろう。
実際の積載量は、容積でみればN-VAN e:の圧勝となる。車高が高く床が低いため室内高は130mmほど高いし、助手席側のBピラーを廃したことで助手席側は1580mmもの開口幅を誇る。
さらに助手席を折り畳めば床面と完全にフラットになるというN-VANの特徴はそのまま確保されているのだ。
助手席を廃してより低床化を実現したモデルも用意されるようなので、一人で荷物を扱うような仕事にはさらに荷物をたくさん積めて、輸送効率を高められそうだ。
N-VAN e:は冒頭の外部給電機能に加えて、ADASのホンダセンシング、ホンダコネクトによりスマホアプリで普通充電を充電量や充電の時間帯などを選ぶこともできる。
設計年度が新しいこともあるが、装備や機能の充実ぶりはミニキャブ・ミーブを大きく上回る。
ミニキャブ・ミーブはあくまで軽貨物EVとしての必要最小限の性能と運搬能力を実現したパイオニアであるのに対し、N-VAN e:は軽商用としてだけでなく、アウトドアや車中泊による旅を楽しむようなホビーユーザーにも使ってもらえるような汎用性の高さが魅力だ。
近距離の運送や宅配業務だけでなく、充電を重ねながら旅が楽しめる仕様でなければ配達専用車に留まってしまうから、ホンダの判断は正しいと言えそうだ。
価格は200万円を切り、航続距離は210km(WLTCモード)を目指すと言うから、いよいよ本格的なEV普及を狙える人気車種となりそうである。
■軽貨物EVの発展によって運送効率が上がる可能性も!
日産サクラと三菱eKクロスEVが発売されたことによって、途絶えそうだった軽EVというカテゴリーが急速に需要を吹き返した。
ミニキャブ・ミーブは特定の配送業務のために販売が再開されたが、N-VAN e:が登場したら、価格やバッテリー容量、装備のどれも太刀打ちできないから、三菱も大掛かりなテコ入れをして、内容を充実させることになるのではないだろうか。
規制緩和により軽自動車による運送業務は軽貨物だけでなく、乗用車でも認められるようになったが、それは空き時間などを利用した宅配ギグワークには使われても、本格的に運搬業務をするなら軽貨物規格の方が運搬効率は高い。
N-VAN e:の登場により、軽貨物はEVが常識となる時代が到来する可能性は高そうだ。
スズキやダイハツからもN-VAN e:と同等の性能を誇る軽貨物EVが登場するのは間違いない。
【画像ギャラリー】軽商用EVに新たな風が吹く! ホンダN-VAN e:と三菱ミニキャブ・ミーブはどう違う? (24枚)画像ギャラリー
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