夏より冬がヤバイ! 雷に打たれたらクルマがどうなるかテストした結果が衝撃的だった!

夏より冬がヤバイ! 雷に打たれたらクルマがどうなるかテストした結果が衝撃的だった!

 東北の日本海側から山陰地方にかけては、夏より冬の雷のほうが圧倒的に多いことをご存じだろうか? そんな雷がクルマに落ちたらどうなるか。よくいう「クルマの中は安全」という言葉は本当なのか。実際に実験してみたら、驚きの事実が浮かび上がった!

・落雷時、車や車内にいる人への影響は?(JAFユーザーテスト)

文/ベストカーWeb編集部、写真/JAF、Adobestock

■クルマの中にいれば安全は「ほぼ正しい」

クルマに雷を落とす実験(画像=JAF)
クルマに雷を落とす実験(画像=JAF)

 大半の人は、夏しか起きないと思っている雷。ところが気象庁の調べによると、新潟、富山、福井といった日本海側では、夏よりも冬のほうが雷の発生回数がはるかに多い。つまりスノボや温泉を楽しみに冬の日本海側に出かけた際に、雷に遭ってもぜんぜん不思議じゃないということになる。

 そんな雷に、クルマが打たれたらどうなるか。JAF(日本自動車連盟)が、「衝撃電圧発生装置」という「疑似雷」を使って、実際にクルマに雷を落とす実験を行い、結果を公表した。

 よく「雷に遭ってもクルマに乗っていれば安全」と言われる。まずこの言葉の真偽だが、「ほぼ正しい」が正解。実験ではマネキンを乗せたクルマに雷を落としてみたが、車内に雷が入り込んだ様子は見られず、マネキンにも焦げ跡などは見つからなかった。

 その理由だが、クルマに落ちた雷が、ボディ(鋼板)という圧倒的に電気が通りやすい部分を通って地面(タイヤ)に逃げるため。ちなみに実験では、運転席の窓ガラスを少し開けたり、ドアをガバッと開けた状態でも落雷テストを実施したが、それでも雷は車内に入り込まなかった。

 では「ほぼ正しい」としたのはなぜか。まれに車内に鋼板がむき出しになっている部分があって、そういった部分に人体が触れていると、感電する可能性がゼロではなくなるためだ。

 通常車内は樹脂や皮革といった内装材で覆われているが、クルマによってドアトリムやダッシュボードに鋼板が露出している箇所が見られる。万一雷で車内に避難する際は、こうした部位に触れないように注意したほうがいいだろうとのことだ。

■問題は人ではなくクルマのダメージだった!

落雷後のクルマの状況。ハイブリッドもEVも走行不能になった(画像=JAF)
落雷後のクルマの状況。ハイブリッドもEVも走行不能になった(画像=JAF)

 車内の人間が安全なことは分かった。ではクルマ自体はどうなのか。

 テストではハイブリッド車(トヨタ アクア)とEV(日産リーフ)について、落雷後の車両状態をチェックした。

 その結果によれば、落雷に遭ったクルマは、始動しないか、走っていれば停まってしまう可能性が高いことが分かった。

 それはなぜか。近年の自動車は各部の制御をコンピュータに頼っているが、ここが落雷の大電流に耐えられず、破損してしまうからだ。

 具体的には、落雷を受けた車両は、ハイブリッド車、EVともに灯火類やドアロック、パワーウィンドウ、ワイパーなどは作動した。ところが走行テストとなるとハイブリッド車はエンジンが始動せず、EVはEVシステムが始動しなかった。つまり落雷に遭ったクルマは走行できないということだ。

 これは、ツールを使った電子制御装置の診断でも明らかだった。車体のOBDポートに診断ツールを挿し込んでみると、ハイブリッド車はエンジンECU信号異常やHV/EV系回生異常、HV/EV系異常といったエラーが出た。

 いっぽうのEVでも、EV-HEVシステムや高電圧バッテリシステム、電動型制御ブレーキ機能故障などに不具合信号が出ていた。

 こうした実験結果をもとに、ドライブ中に雷に遭遇した際の注意点をまとめておこう。

 まず人体については、車内が安全な避難場所になる。近くに大きな建物などがなく、クルマが安全な場所に停車しているなら、車内に避難しよう。

 いっぽうドライブ中に雷が鳴る場面に出くわしてしまったら、一時的に雷をやり過ごす方法を考えたほうがよい。住宅の軒下や立体駐車場の下層階などに逃げ込むのが有効だろう。

 また、万一雷に打たれた際は、クルマが止まってしまうかもしれないことを頭の隅に入れておこう。予め速度を落とし、すぐに路肩などに停まれる準備をしておくことが望ましい。

 とにかく、雷は夏の風物詩ではない。年間を通じて危険があることは肝に銘じておきたい。

【画像ギャラリー】冬だからと油断しないで! 雷に打たれるとクルマが止まる!(12枚)画像ギャラリー

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