大学自動車部はクルマの運転技術を競う運動部。多くは全日本学生自動車連盟(学連)主催のジムカーナやダートラ、フィギュアなどに出場し鎬を削っている。全国数多くある自動車部のなかから、今回は中央大学自動車部の活動を紹介する!!
※本稿は2023年12月のものです
文/奥野大志、写真/ベストカー編集部、FavCars.com、撮影/大石博久
初出:『ベストカー』2024年1月10日号
■圧倒的な迫力!!
中央大学自動車部の活動拠点がある多摩キャンパス(八王子市)にやってきました。
守衛のいる門を通過し、指示された広めの駐車場にクルマを停め、周囲を見渡すと、フィギュアのガチ練習の真っ最中!! 乗用車(マツダ2)や小型トラック(デュトロ)がお手製狭小路を激しく行き来しています。
その光景はまるでカメラの早回しのようで、競技そのもの。運転している部員も超熱心で、拙者とベストカー担当氏は、のっけから中大自動車部の迫力に圧倒されてしまいました。
そんなオープニングで始まった中央大学の取材。噂には聞いていたものの、ストイックな練習姿勢に衝撃を受けました。まずは中大自動車部の簡単なプロフィールをご紹介したいと思います。
中央大学自動車部の創部は1931年(昭和31年)。もう少しで創部100年を迎える、歴史ある運動部です。
多摩キャンパス内にあるガレージで活動を行っており、学連主催のジムカーナやダートラ、フィギュアなどに鋭意出場中。
学連のホームページで確認できる平成8年以降、好成績を残しており、3競技の合計得点で決まる、全日本総合杯の獲得回数は7回。これは同志社大学と並びトップタイの記録で、個人戦の優勝は数知れません。
他大学の取材に行っても中大をライバルとしてあげる自動車部は多く、自他共に認める強豪校なのです。
それもあって部員の数がとても多い。取材時の部員数は31人で、内訳は4年が3名、3年が6名、2年が11名、1年が11名。筆者の知る限り最大規模で、部員数の減少に悩む自動車部にとって、なんともうらやましいはず。
これだけの大所帯となると、さぞかしまとめるのが大変だと思いますが、練習の様子を見る限りまったく問題なし。
部員のひとりひとりが自覚をもって行動している感じがすごく伝わってきて、統率のとれた体育会的な気質を感じます。
「部の活動にはオンとオフがありますが、オンの時は他大学から“軍隊みたい”と言われます(笑)。
オフの時は家族みたいに上下間の仲がよく、部活終わりに食事に行くこともしょっちゅう。遠征が多く、一緒にいる時間が長いので、どんどん仲よくなりますね」(主務・小林隆典さん)。
中大自動車部の活躍を支えているのが独自に定めた部内ルール。
安全な整備に関する講習を受けて初めて新入部員がクルマに触れるようになる「安全講習」や、遠征時に道を間違えると運転者が即失格となる「運行法」など、いろいろなルールがあり、厳格に運用されています。
厳しすぎる印象を持つ人も多いと思いますが、よくよく考えたら、どれも安全に直結するもの。
中大自動車部は安全な活動に尽力してきた歴史を持ち、それにより、部員一人一人の意識が向上。トップレベルの競技成績を残してきたのです。
「新人が期待に胸を膨らませて入部すれば、何かさせてあげたい気持ちになります。でも、ルールを崩したら自分たちの安全面の文化がなくなってしまうという思いがあり、心を鬼にして守っています」(会計・中山涼雅さん)。
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