ベストカーWeb読者にはスピードリミッターがクルマに装備されていることを知っている人も多いはず。しかし、これはどのような目的を持った機能なのだろうか? 今回はスピードリミッターの秘密を探る!
文/長谷川 敦、 写真/スバル、トヨタ、日産、ボルボ、ホンダ、メルセデスベンツ、写真AC、Adobe Stock、アイキャッチ画像/alswart@Adobe Stock
【画像ギャラリー】スピードリミッターって自主規制なの!?(13枚)画像ギャラリー■スピードリミッター搭載の理由とは?
スピードリミッターとは、その名称どおりにスピードに制限をかけるものだ。クルマの場合、例えばスピードリミッターが180km/hに設定されていると、走行スピードが設定値に達した段階でリミッターが働き、それ以上の速度が出せないようになる。
この機能が搭載されているのは第一に安全のため。当然ながらスピードが上がるほど事故が起きる可能性が高くなり、また、事故になってしまった場合のダメージも重大なものとなる。
実際にスピードを制御する方法だが、センサーで速度を感知し、設定値に達すると電子的にスロットル開度を下げる、あるいはターボの過給圧を低下させるなど。これは車種によっても異なる。
かつては燃料供給をカットするなどの方法も行われていたが、現在ではもう少々高度な制御を行ってドライバーにリミッター作動によるショックを感じさせないようになっている。
実は、このスピードリミッター搭載は法律で義務付けられているというわけではない。トラックなどの大型にはスピードリミッター搭載の義務があり、これは90km/hとなっている。しかし、一般的な乗用車に搭載されるスピードリミッターは、基本的に自動車メーカーの自主規制だ。
そのため、一部の国産車にはスピードリミッターが搭載されていないケースもあり、これは輸入車でも同様。つまり、各自動車メーカーは安全性を重視して自社のクルマにスピードリミッターを搭載しているということ。
■スピードリミッターの解除は合法か? そしてなぜ解除が必要なのか?
スピードリミッターの搭載が法律によるものではないことはわかった。となると、ユーザー側でスピードリミッターを解除しても違法にはならないのか?
答えはイエス。スピードリミッターはあくまでメーカー側が自主的に搭載している機能であり、これを解除しても法律違反に問われることはない。ただし、搭載が義務付けられている大型トラックのスピードリミッターを解除すると違法になる。
現在の国産車に搭載されるスピードリミッターは、速度が180km/hに達した時に作動するよう設定されている。日本国内での法定最高速度は120km/hのため、通常の走行であればこれを解除する必要はない。
しかし、後述するようにリミッターを解除する手段はあり、実際にそれを行っているユーザーもいる。その目的はサーキット走行のため。
レースが行われるサーキットは、何もレーシングカー専用の施設ではない。むしろ、スポーツ走行の時間帯に、日ごろ公道を走らせているクルマを持ち込んでサーキット走行を楽しむ人が多い。そして当然ながら、特殊な状況を除いてサーキットに速度制限はなく、クルマが持つ能力を存分に発揮できる。
だが、サーキットの長い直線区間でスピードリミッターが作動すると、それが足かせになってしまう。そこで事前にリミッターを解除しておけば、高速走行を存分に楽しむことができるというわけ。
コメント
コメントの使い方