■ホンダアジア圏開発拠点の共同プロジェクト
もちろん、コストダウンは自動車メーカーにとってもっとも難しいテーマだから、ここは大いにアタマを絞っている。
開発拠点はタイ、生産拠点はインドと、ホンダのグローバルリソースをフル活用。実走テストもタイのテストコースで走り込んで仕上げたという。
この堂々たるスタイリングのSUVが、N-BOX並みのエントリー価格で手に入るというのはなかなかインパクト大。販売の現場は大いに活気づいているに違いない。
一方、インド生産というと「品質は?」という懸念を持つ人もいるかもしれないが、この点もむしろ「予想以上にグッド」と評価できる。今や、生産国がどこかということは気にする問題じゃないと確信した。
さすがに最廉価版の“X”は鉄チンホイールなど質素だが、その上の“Z”なら17インチアルミホイールをはじめとして装備類には基本的に不足なし。内外装のクオリティについても、ロッキー/ライズを上回る水準にある。
さらなるサプライズは、走りのクオリティが予想以上に高いことだ。
パワーユニットは何の変哲もない1.5L(118ps/14.5kgm)純ガソリンエンジンとCVTの組み合わせだが、活気ある吹け上がりフィールと巧みなCVT制御が相まって「やっぱしホンダのエンジンはイイね!」と言いたい爽快感がある。
ハンドリングについてもしかり。まず感心するのは電動パワステ(EPS)の操舵感が上質なことで、ここはロッキー/ライズの弱点だっただけに優位性を実感する。
乗り心地と操安のバランスも、お手本どおりの優等生だ。早いステア操作で左右に揺さぶってもボディ上屋は必要以上にグラつかず、後輪のグリップ感が怪しくなることもない。
普通に走れば基本はマイルドで安全志向のハンドリングだが、緊急回避時のフットワークやスタビリティにもバランスよく目配りされたセッティングと評価できる。
日本の自動車メーカーは日本市場で頑張ることでブランド価値が高まるというのがぼくの持論。「やればできるじゃん、ホンダ!」とエールを送りたいと思います。
■Check Point!
●ホンダセンシングは最新バージョン
ホンダセンシングはフロント単眼ワイドビューカメラと前後8つのソナーセンサーを使用した最新バージョンを全モデルに標準装備。衝突軽減ブレーキ、歩行者事故低減ブレーキ、ACCなどの機能を有する。
●後付けパーキングアシスト……これ、メチャ使えます!
ホンダ純正アフターパーツを開発するホンダアクセスの「リアカメラdeあんしんプラス4」は、標準装着のリアカメラを活用し、画像解析技術によって後退駐車サポート機能を実現。このほか後方死角サポート機能などもあり、実用的だ。
●ホンダ WR-V(Z)主要諸元
・全長:4325mm
・全幅:1790mm
・全高:1650mm
・ホイールベース:2650mm
・最低地上高:195mm
・最小回転半径:5.2m
・車両重量:1230kg
・パワーユニット:直列4気筒DOHC
・総排気量:1496cc
・最高出力:118ps/6600rpm
・最大トルク:14.5kgm/4300rpm
・モーター出力/トルク:―
・トランスミッション:CVT
・WLTCモード燃費:16.2km/L
・Fサスペンション:ストラット
・Rサスペンション:トーションビーム
・タイヤサイズ:215/55R17
・車両価格:234万9600円
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