日産のかつての名車「フーガ」はなぜ消えねばならなかったのか?

日産のかつての名車「フーガ」はなぜ消えねばならなかったのか?

 名車セドリック/グロリアの系譜を継ぐ名門中の名門である「フーガ」。「シーマ」とともに、日産を代表するモデルとしてラインアップされていたが、2022年、販売終了となってしまった。

 初代こそ、そこそこ売れたものの、生涯を通して、大ヒットとはならなかったフーガ。フーガの流転の運命をたどりながら、フーガの消滅について、そして今後日産のセダンがどうなっていくのか、考察しよう。

文:吉川賢一
写真:NISSAN

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カッコいいスタイリングで完成度が高く、そこそこ売れていた初代

 日産の高級セダンとして、1970代~2000年ごろの国内市場を支えてきた「セドリック」と「グロリア」。伝統的な後輪駆動のパーソナルセダンとして、流行のスタイリングや最新の装備を取り入れつつ、30年以上にわたって、ライバルのクラウンとしのぎを削ってきた。歴代モデルを通して、日本初や世界初となる技術/装備がいくつも搭載され、「技術の日産」を印象付けてきたモデルでもあった。

 フーガは、その伝統的を引き継いだモデルだ。2004年10月に誕生した初代フーガ(Y50型)は、フロントミッドシップにエンジンを縦置き配置する「フロントミッドシップパッケージ」(FMパッケージ)を採用したFR-Lプラットフォームと、53:47の理想的な前後重量配分をもつドライバーズセダンとして登場。高い走行性能や快適性で、登場当時から非常に完成度の高いモデルであった。

 デザインも若々しくてスポーティであり、2004年当時としては珍しい19インチの大径タイヤホイールを採用。この初代フーガを皮切りとして、他の高級車メーカーも大径タイヤホイールを採用していくようになったと記憶している。筆者はこのY50フーガの開発の最終段階のころに日産自動車に入社しており、日産のテストコース内でY50の偽装車両を見かけ、非常にカッコ良いスタイリングに惚れ惚れしたことを覚えている。

 2004年頃といえばすでにSUV人気も上昇し、トヨタのハリアーが高級車として認められるようになった時代。そんな時代でも、初代フーガは十分な存在感と魅力を放っており、大ヒットといえるものではなかったが、海外市場ではインフィニティのラージセダン「M」としてヒット、国内市場のフーガも、そこそこ売れていた。

初代フーガは、スポーティな路線の「450GT」 「350GT」 「250GT」と、よりラグジュアリーを狙った「350XV」と「250XV」の5グレード構成であった
初代フーガは、スポーティな路線の「450GT」 「350GT」 「250GT」と、よりラグジュアリーを狙った「350XV」と「250XV」の5グレード構成であった

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