クルマ界のあらゆる不思議に迫ることで一部でカルト的な人気を誇ったかもしれないベストカー本誌企画「不思議でたまらない」。今回は本企画から超小型モビリティにまつわる「ナゼ」を深掘り!(本稿は「ベストカー」2013年4月10日号に掲載した記事の再録版となります)
PHOTO/トヨタ、ホンダ、日産 ほか
■そういえば…超小型モビリティのドアに窓がないのはなぜなのか?
最近、何かと話題の超小型モビリティ。パワートレーンにモーターを使い、若者から老人まで気軽に使える次世代のシティコミューターとして注目が集まっているのはご存じのとおり。
トヨタ車体のコムスは大手コンビニエンスストア、セブンイレブンの一部店舗で導入されていることもあり、街なかで見かける機会も多くなってきた。
また、日産もニューモビリティコンセプトを使った大規模なカーシェアリング「チョイモビヨコハマ」を2013年10月から開始するなど国産メーカーはその普及・開発に熱心だ。
そんな各社の超小型モビリティモデルを見てみると、共通点があることに気づく。そう、ドアウィンドウがないのだ!!
まさに冬本番を迎える今、ドアウィンドウがないのは死活問題。短距離ユースを想定しているとはいえ、二輪車より高い安全性、そして快適性の実現こそが超小型モビリティの存在意義なのでは? と担当は思うのだが……。
巷では「法律上装備できないのでは!?」といった声も上がっているが、実際のところどうなのか? そこで今回は「超小型モビリティにはどうしてドアウィンドウがないのか?」に迫ります!!
■メーカーに聞く「ドアウィンドウがない理由」
まず、その理由を超小型モビリティ、「MC-β」を製作するホンダの広報部に聞いた!!
「ドアに窓を取り付け、車内を密閉すると、当然窓が曇るという現象が起きます。そうならないためには曇り止め装置としてエアコンを装備することになります」(ホンダ広報部)
なるほど。じゃあエアコンをつければいいのでは?
「もちろんエアコンを付ければいいのですが、そうすると電力の消費が増え、航続距離も短くなってしまい、さらには重量増となるので、現状ではエアコンを装備する予定はないですね」(同広報部)
もともと超小型モビリティは近距離の移動を想定した乗り物で、航続距離も各社100km以下と短い。そこにさらに航続距離を縮める要素は盛り込めないということだ。
さらに「ニューモビリティコンセプト」を作る日産自動車は、こう回答した。
「弊社の作るニューモビリティコンセプトでもドア部に白いバーだけしかないモデルやパネルが付いて、ドアの形状になっているモデルなど何タイプかあります。四輪の超小型モビリティとしての使い勝手と快適性や利便性の限界を見極めるため、あえて窓は付けていませんが、市販化に向け今は試行錯誤の状態ですね」(広報部)
つまり、超小型モビリティという枠組み自体が新しいものであるため、今はユーザーの反応を伺っている真っ最中の手探り状態なのだ。ただその日産も今後、ドアに窓を付ける可能性はまずないということだ。
そんななかドアウィンドウはおろかドア自体も存在しないコムスを製作するトヨタ車体は、
「気軽に乗れる乗り物で、乗り降りもしやすい。こうした観点を重視しているのでコムスにはドアやドアウィンドウを付けていません」(広報部)
と回答。ちなみにコムスをはじめとした超小型モビリティはミニカー規格での登録となるが
「法整備上ドアウィンドウが装備できないということはありません」(広報部)
ということで、法的なハードルがあるわけではない。
それから、コムスにはキャンバス製のドアとビニールの窓を付けられるオプションの設定がある(価格は5万5000円)。これはチャックで開閉する仕組みになっていて、担当も実際に試乗したが風雨の遮断性はかなりのものだった。
ということで、ここまで各社に聞いた回答をまとめると
01)ドアウィンドウを付けるためには、曇り止めのためのエアコンの装備が必要02)エアコンの装備は航続距離の減少、重量増となるので×
03)乗り降りなど利便性との関係で窓は付けない。
これらの理由が挙げられる。
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