昨夏の2024年モデル発表時に追加されたフェアレディZ NISMO。パワーは増し、外観もアグレッシブになったのに、イマイチ褒めたたえる話が少ない気がしないでもない。いやいや、このクルマ見るべきところありますよ! ってなわけで、幸運にも乗る機会を得た筆者が、褒めてみる。
文・写真:ベストカーWeb編集部
■「1m動かしただけで、ノーマルZとは明らかに違う雰囲気……!!」
自動車雑誌の編集者というと、運転が上手いというイメージを持たれる方もいるかもしれない。確かに運転が上手い編集者はいる。だが、筆者はそうではない。
ビビリゆえサーキットで速くクルマを走らせるようなことはできない。だがそれでもいいと思っている。編集者の仕事とはクルマを速く走らせることではなく、撮影現場まで無傷でクルマを運ぶことだからだ。負け惜しみだ。
しかしビビリゆえ変な能力が伸びた。その能力とはちょっと動かしただけで警戒すべきクルマがわかることだ。
ここでいう警戒とは「壊れそう」とか、そういうことではない。「そう簡単には能力の上限が予想できるところまで行きそうにないから、しばらくはおとなしく運転しよう」という、ビビリ根性にもとづくものだ。
そして最近、そのアラートが脳内に鳴り響いたのがフェアレディZ NISMOだった。メーカーが貸し出す広報車に乗り、1m前進させただけでノーマルZとは明らかに違う雰囲気がわかった。
■直感的に浮かんだ。「997時代のポルシェGT3の雰囲気に似ている」
これまた評論家ではないゆえ曖昧な言葉でしか伝えられなくて恐縮だが、クルマから伝わる「シッカリ感」がハンパなく上がっているのだ。
このシッカリ感が、ある種怖い。これは輸入車含め高性能スポーツだけが持っているものだからだ。
直感的に浮かんだのは「997時代のポルシェGT3の雰囲気に似ている」だ。まぁ、GT3に乗ったのはかなり昔なので単なる勘違いの可能性もなくはないが、とにかくそう思ったのだ。
横浜の日産本社から会社までの1時間弱、手には汗がにじんでいた。重いステアリングフィールも、クルマから「変なことするなよ」と警告されているようだ。
ATなのだから加速は簡単だ。だが、重いステアリングと路面状況をかなり正確に伝えてくる足回りに、ビビリ度MAXの脳細胞が「とりあえず会社までおとなしく帰ったら?」と加速を躊躇させる。
ノーマルZ に15ps/4.6kgm加算されただけなのに、アクセルを踏んだ先が想像できず、結局、手汗だけはタップリかきながら会社に着いてしまった。
ステアリングがアルカンターラなのは、おそらく筆者のようなビビリがかく手汗を考慮してのことに違いない。
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