ホンダはフルラインナップメーカーとして、NSXから軽トラックまで多種多様なラインナップを誇るホンダ。
しかし最近はどうにもN-BOX以外の車種の元気がない。ホンダはこのままでは軽自動車一辺倒になってしまうのではないだろうか?
販売台数の格差が大きすぎるのはホンダにとってもマイナスだし、ユーザーにとってもいいクルマが生み出されないという結末が待っている。
なぜこのような販売台数格差が出てきてしまうのだろうか。渡辺陽一郎氏に聞きました。
文:渡辺陽一郎/写真:編集部
■レジェンドはN-BOX比で0.2%しか売れていない現実
どこのメーカーでも、販売の好調な車種と不人気車は台数格差が大きいが、ホンダは特に顕著だ。
2019年上半期(1~6月)の国内販売台数を見ると、N-BOXは以前と同様、国内販売の総合1位を独走する。
2019年上半期の届け出台数は13万1233台で、1カ月平均が2万2000台近くに達した。2019年上半期の総合2位はスペーシアの8万9750台だから、N-BOXは半年で4万台以上の差を付けた。超絶的な人気車だ。
そうなるとホンダの国内販売におけるN-BOXの比率も高まる。2019年上半期に国内で売られたホンダ車の内、33%がN-BOXであった。
このほかの売れ筋車種は、N-BOXに比べると販売台数が一気に下がるものの、フリード(2019年上半期の登録台数は4万5548台)、フィット(4万5089台)、ヴェゼル(3万3445台)、ステップワゴン(2万9295台)になる。
これら1位のN-BOXから5位のステップワゴンまでを合計すると、28万4610台で、国内で売られたホンダ車の70%に達する。
逆に売れ行きが伸び悩む車種は、例えばレジェンドが6カ月間で250台程度にとどまる。N-BOXの0.2%だ。
プラグインハイブリッドのPHEVを加えたクラリティは、1カ月に多い時で20台程度だから、半年でもわずか100台前後になる。
またインサイトは、売れ筋ハイブリッド車の印象があるが、2019年上半期は5867台であった。
1カ月平均が1000台を少し下まわり、N-BOXの約4%だ。シビックはインサイトよりも少し多く、2019年上半期は6743台であった。オデッセイは7887台、CR-Vは9590台で、1カ月平均にすると1000~1500台のグループを構成している。
そしてこのグループよりも売れ行きの少し多い中間層はほとんどなく、シャトルの月販2300台くらいだ。
つまり今のホンダ車の売れ行きは台数格差が激しく、前述したN-BOXからステップワゴンまでの上位5車グループが筆頭に立つ。
そしてCR-Vやシビックといった月販平均1000~1500台の中堅グループ、さらにレジェンド、アコード、グレイス(最近は売れ行きが下降)、ジェイド、クラリティといった月販台数が500台を下まわる下位グループに大別される。
ホンダの国内販売格差が広がった理由は複数あるが、まずはホンダ車全体の70%を占めるトップ5車で、生産と販売が飽和状態に達していることだ。
ホンダカーズ(ホンダの販売店)に尋ねると「N-BOX、フリード、フィットなどの販売で、今はそれなりに忙しい。
そしてアコードやレジェンドなどのセダンは、積極的に売れ行きを伸ばせるクルマではないから、希望するお客様に販売している。主に歴代モデルに乗っているお客様が購入されている」という。
またインサイト、シビック、CR-Vについては販売現場の悩みもあるようだ。
「かつて販売を一度終了したことが、今の売れ行きに影響を与えた。生産や販売を終えると、他メーカーのライバル車に乗り替えてしまうお客様も多い。
数年後に販売を再開しても、お客様が戻るとは限らず、乗り替え需要は期待しにくい。新規投入車種と同じような売り方になる」とコメントがあった。
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