■販売店統合で薄れてしまったホンダの個性
このほかホンダ車に販売格差が生じた理由として、2000年代の中盤以降に行われた販売系列の撤廃もある。
以前はクリオ/ベルノ/プリモに分かれ、レジェンドやアコードはクリオ店、シビックはプリモ店が専売車種として大切に販売していた。この系列が撤廃されて、全店が全車を扱うようになり、売れ筋車種が低価格化している。
系列化の時代は、軽自動車を扱うのはプリモ店だけで、ベルノ店はインテグラ、プレリュード、NSXなどスポーツモデルの販売に専念した。
それが全店併売になると、一斉に販売しやすいN-BOXを数多く売るようになってしまう。系列化の時代には、わずか1車種の軽自動車がホンダ車販売の30%以上を占めるとは、予想もしなかった。
軽自動車が販売比率を高めると(新型車のN-WGNも好調に売れる)、軽自動車の増税話が持ち上がる。
すでに軽乗用車の軽自動車税は、年額7200円から1万800円に値上げされた。公共の交通機関が未発達な地域では、高齢のユーザーが、軽自動車を使って通院や買い物をしている現実がある。
これ以上の軽自動車増税は、ライフラインを直撃するから絶対に避けねばならない。
そうなるとホンダを含む自動車業界にとって大切なことは、魅力的な小型/普通車を開発して売れ行きを伸ばすことだ。
2019年10月25日から一般公開される東京モーターショーでは、ホンダが次期フィットを披露する。
軽自動車をたくさん売るなら、それ以上に日本国内で好調に売れる小型/普通車を開発する必要がある。
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