■単純に2倍のパワーを狙ったのか!? エンジンを2基搭載もアリだ! 変わり種エンジン その3
「グラスの底に顔があってもいいじゃないか」と言ったのは故・岡本太郎画伯だが、「クルマにエンジンが2つあってもいじゃないか」と言ったのはシトロエンのエンジニアだ。
いや、そんなことを言ったかどうかは知らないが、2CVサハラは油田開発用の車両を市販したもの。後輪を駆動するためのエンジンをリアに1基追加した4WDだが、片方を切ればFFにもRRにもなる優れモノ(?)だ。
ツインエンジンといえば、モンスター田嶋こと田嶋伸博氏がパイクスピークで勝つために開発された「スズキスポーツ・ツインエンジン・カルタス」も忘れちゃいけない。
400psを発生する1.6L直4を前後に搭載し、合計で800psを叩き出すモンスターマシンだ。駆動配分が難しいが、これを見事にやってのけた。VWもトライしたが物にならなかったのをモンスターが成功させ、1992年のパイクスピークで優勝。
【閑話休題】昔のクルマには単気筒エンジンも存在していた
オートバイの場合は400ccクラスの中型2輪であっても「単気筒エンジン」が存在するが、現在では単気筒エンジンを搭載する4輪車は存在しない。が、大昔はやはりあったんですね。カール・ベンツの相方であるゴットリープ・ダイムラーが1856年に作った世界初の4輪自動車は排気量462ccのガソリン単気筒エンジンを採用していた(3年後はV2に進化)。
また1940年代末からヨーロッパで流行した「バブルカー」でいうと、BMWイセッタの初期モデルは単気筒。そのほかではダイハツのミゼットも単気筒でしたね……って、ミゼットは4輪車じゃなくて3輪か!
■H型、U型……いやそんなムリヤリ作らんでも…… 変わり種エンジン その4
かつてのF1に参戦していたコンストラクター「BRM(ブリティッシュ・レーシング・モータース)」は1951年、V12全盛時代にあえてV16エンジンを開発したが、エンジン自体が長すぎて使い物にならなかった。
が、BRMはまったく懲りずに(?)1966年、今度は水平対向8気筒エンジンを2階建てにした、F1史上類を見ないレイアウトの「H型16気筒」でリベンジを期すことに!
が、当たり前だが馬力は凄いが重すぎて壊れやすい……という明らかな失敗作。アメリカグランプリで勝利を収めたこともあったようだが、結局は1967年シーズン序盤にあっさりと姿を消した。
U型エンジンは、2つの直列エンジンをギアまたはチェーンで結合したもの。今日ではまったく一般的ではないが、直列エンジンと部品を共通化できたため、V型エンジンが一般化するまでは、強力なエンジンを作製する手法として多用された。
といってもU型は基本的には当時の航空機や戦車に使われたエンジンで、自動車用としては1920年代のブガッティがごく少数のU型エンジンを製作したのと、フランスのマトラが1974年頃、U型8気筒の「マトラ・シムカ・バゲーラ」を開発した程度だ(このクルマは結局量産されず)。
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