空前のSUVブームと言われて久しい昨今。猫も杓子もSUVというような状況だが、かつてこの国には様々なクルマのブームが巻き起こっては人々を熱狂させ、消えていった。日本で巻き起こったブームと、そのブームの中心にいたクルマたちをご紹介。(本稿は「ベストカー」2013年2月10日号に掲載した記事の再録版となります)
TEXT/片岡英明
■ハイトワゴンブーム
1991年に登場したRVRは、4WDによる走破性、走りのよさが魅力なのだが、実用性の高さ、特に広大な室内はライバルを寄せ付けなかったし、スライドドアによる利便性も高かった。ワゴン的、ミニバン的、クロカン的といかようにも使えた。
ユーザーのニーズを素早くつかみ、オープンギア、ランエボの心臓部をディチューンして搭載したハイパースポーツギアなどチャレンジングな販売戦略を展開。その勢いは当時トヨタが一番脅威に感じていたクルマだったと、も耳にしていたほど。
■クロカンブーム
三菱はジープをライセンス生産していたが、海外では売れなかった。そこでジープのノウハウを結集してパジェロを開発している。初代モデルもクリーンヒットを飛ばしたが、大ヒットしたのは2代目だ。レジャー志向、アウトドア志向の高まりが後押しして販売を押し上げた。パリ~ダカールラリーで好成績を挙げたことも奏功したが、世界初のスーパーセレクト4WDやマルチモードABSなどを採用し、卓越した走破性能を誇ったことも大ヒットした要因のひとつ。ライバルのハイラックスサーフの存在も無視できない。
■デートカーブーム
1982年11月に登場した2代目プレリュードは、スタイリッシュなデザインのクーペボディと低いボンネットが話題をまいた。キュートなデザインに加え、フットワークとハンドリングも常識破りだった。FF車としては世界最高レベルのハンドリングを誇り、3代目では4輪操舵の4WSを採用して異次元の走りを身につけていたのだ。
ホンダ自慢のハイテク装備を満載し、前席に座る2人をいい気分にさせたのが2代目と3代目のプレリュード。若者の憧れの存在で、デートカーとしての資質はメッチャ高かったのだ。
■ハイソカーブーム
時代を先取りした先進的なメカを積極的に採用し、ハイソカーブームの火付け役となったのがソアラだ。初代は2.8Lの直列6気筒DOHCエンジンを積み、最強スペックを誇った。
また、時代に先駆けてデジタル表示のエレクトロニック・ディスプレイ・メーターを採用し、オーナーを極上の気分に浸らせた。
2代目はエンジンを大幅にパワーアップし、足まわりも4輪ダブルウイッシュボーンに進化。圧倒的な走りの実力と贅を尽くした装備の数々により富裕層の心をつかんだ。
■白いハードトップセダン
ソアラとともにハイソカーブームのけん引役を務めたのがマークII、チェイサー、クレスタの3兄弟だ。1984年に登場した5代目のマークIIを中心とするGX/MX71系は、伸びやかな4ドアのハードトップボディを主役に据えている。
エレガントなスーパーホワイトのボディカラーも追い風となり、空前のヒット作となった。ライバルに先駆けてDOHCの6気筒エンジンを“ツインカム24”と命名して搭載し、パワフルなツインターボも用意と至れり尽くせり。人気を集めた理由のひとつだ。
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