■シティクロカン
世界中でクロスオーバーSUVがブームとなっている。が、先鞭をつけたのは日本だ。1994年、トヨタは乗用車ベースのシティクロカン、カジュアル感覚のアーバンSUVを送り出している。これがRAV4だ。
アップライトな運転姿勢で扱いやすかったし、オフロードだけでなく高速道路やワインディングロードも難なくこなした。エンジンは2Lの4気筒DOHC、駆動方式はフルタイム4WD。キビキビとした走りが新鮮で、幅広い層のユーザーを魅了し大ヒットモデルとなった。CR-Vの登場で盛り上がりは最高潮だった。
■ハイトワゴン軽ブーム
軽自動車はエンジンとボディサイズが決まっている。限られたサイズのなかで最大級のスペースユーティリティを狙い、背を高くしたのがワゴンRだ。ミニカトッポも同じような考えで送り出したが、ワゴンRは乗用車ムードを強く打ち出していた。
ミニバン的な押しの強い2BOXフォルムを採用し、ドアも左右非対称の変則的なヒンジ式ドアとした。居住性がよく、運転しやすかったし、ドレスアップする楽しみもあった。ラゲッジルームも広い。アッという間に大ヒットしたのは必然。
■スーパースペース軽ブーム
ワゴンRが扉を開いた軽ハイトワゴンの世界をさらに広げたのがタントだ。さらに背を高くしてセミキャブオーバーの1BOX並みのスペースユーティリティを手に入れた。
しかも広いだけでなく、乗用車系と同じようにフロントにエンジンを収め、軽快な走りを実現している。見下ろし感覚だから運転もしやすい。
また、群を抜いて使い勝手がよく、チャイルドシートも装着しやすいから子育て世代のママさんを中心に大ブレイクした。あまりの人気ぶりにライバルは唖然! いまやN-BOXも登場し、全盛期を謳歌している。
■ハイブリッドブーム
ヨーロッパ勢はハイブリッド技術を燃料電池自動車が登場するまでのつなぎの技術と見下していた。
が、エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド車で培った技術はEVや燃料電池自動車にも応用できる。そう信じてトヨタはプリウスを発売してきたが、リーマンショックが引き金となって原油価格が高騰。燃費のいいプリウスが見直され、一気にベストセラーカーへ。
現行モデルは燃費がいいだけでなく走りの実力も高いから引く手あまただ。
■赤いファミリアブーム
オイルショックによってロータリーバッシングが起こり、マツダは経営危機に陥った。だが、VWゴルフを手本に開発し、FF車に生まれ変わったファミリアを1980年6月に発売。
ストレート基調の若々しいデザインとゴージャスなラウンジソファシート、時代の先端をいく粋な電動サンルーフなどがデート世代の若者を魅了し、真っ赤なファミリアが大ヒット。
街にあふれた。フットワークも冴えていたから走りにうるさいマニアまでもとりこにし、売れに売れた。サーフィンブームにも乗っかったかたちだ。
■シーマ現象
新しい高級車像を明快に打ち出し、登場したのがシーマだ。Y31型セドリックとグロリアの上級モデルとして開発され、小型車枠を超えた3ナンバーの大柄なボディを採用。しかもスタイリッシュな4ドアハードトップだけの設定だったからプレミアム感も高かった。
エンジンは3LのV型6気筒DOHCで、豪快な加速性能を秘めたターボ搭載車も用意した。クラウンにひと泡ふかせ、社会現象になるほど成功したのだ。
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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