■ドイツ車とは異なるシート
ドブロは2列目も3列目もシート自体はとてもいい。1席ずつ独立したバケットタイプで、お尻の収まりがいいです。座面の長さや背もたれの高さはやや短いのですが、形状がいいためしっかりと身体を預けられます。
3列目は座ってしまえば足元のスペースにも余裕があります。頭上もスペースに余裕があって居住性はいいと思います。ただテールゲートが近く、追突されたら怖いです。
2列目シートは横に3座並んでいて、ちょっと横幅は狭いのですが、座面のクッションはしっかりと厚みがあり、座り心地がいい。3列目同様、座面長はちょっと短いし背もたれも低いですが、しっかりしたシートです。
さて運転席です。2列目、3列目のシートと比べて座面も大きく背もたれも高さがたっぷりあります。クッションの厚みがあってお尻をしっかり包み込んでくれるので姿勢が安定します。
座面のサイドの張り出しがソフトなので、仕事で一日に何度も乗り降りしても腿裏がすれることはありません。とてもいいシートです。疲れないシートです。
ドイツ車は硬いシートが多いのですが、反対にイタリア車やフランス車はクッション性がよいシートになっています。これにはお尻の形状が関係しています。
ドイツ人は大きなお尻で肉付きがよく、硬めのシートを好みますが、ラテン系のイタリアやフランス人のお尻は小さく肉付きも少ないのでクッションが効いたシートを好みます。家具のソファやベッドも同じ傾向です。民族の体形がシート形状を決めているのです。
ペダルは若干内側にオフセットしています。アクセルペダルがタイヤハウスの張り出し分、左に寄っています。左ハンドルの商用車がベースなので、このオフセットはやむを得ないのでしょう。
ダイヤル式シフトは最初戸惑うかもしれませんが、すぐに慣れますし、使いやすい。何よりもDとRを入れ間違えるような誤操作の危険性がまずありません。
それにしてもセンターコンソールは巨大で存在感があります。そのわりにカップホルダーがあるわけでもなく、利便性はありません。
■商用車だからこそしっかりと作られる
エンジンルームを見ましょう。ドブロのブレーキマスターシリンダーは左ハンドル用の位置にあって、シャフトで連結しています。
エンジンマウントのブラケットは樹脂製です。振動を吸収できるので、プジョーやシトロエンも含め、ステランティスは樹脂製のブラケットを多くの車種で採用しています。
エンジンルーム内のレイアウトは極めて合理的です。エンジン、トランスミッション、ターボや触媒といった補器類をコンパクトにまとめて搭載。バッテリーのすぐ横にECUを置くことでハーネスを短くできます。
この基本レイアウトを308などのコンパクトカーシリーズにまで採用して、部品や生産設備の共用化による大幅なコスト削減を図っています。
車体構造はしっかりしています。ストラットアッパーはダッシュパネル直付けで、さらにダッシュパネルに沿って補強パネルも貼られています。加えてエンジンルームの騒音や熱を室内に入れないよう厚い吸音材も貼られていますし、開口部には全面ゴムシーリングが施されています。
■シートはベンツらしさ満点
ベンツVのエンジンルームを見ると、二重隔壁構造になった見慣れたベンツFRプラットフォームのエンジンルームです。先代型CクラスやEクラスと同様の構造です。
エンジンは直4、2Lディーゼルターボですが、これも一世代前のユニットです。最新のディーゼルターボと比べるとトルクの出方など、やや力の弱さを感じますし、音振もちょっと大きめです。
Vクラスのインパネは丸形メーターを配した前型のCクラス風。イグニッションスイッチもプッシュ式ではなくキーを捻るタイプで、商用車感があります。
シートはいかにもベンツらしい形状で、しっかりとした着座感と身体のホールド性です。ただ、セダンのCクラスであればいいのですが、フロアが高いVクラスだと、座面サイドのサポート部の盛り上がりが大きくて硬く、乗降時に腿が当たり少し痛いです。
2列目は左右独立のラグジュアリーシートで、左右に大型アームレストがあり、座面長は長く、背もたれもしっかりと高さがあっていいのですが、クッションが硬い。日本人のお尻の大きさや体重では沈み込まず姿勢が落ち着きません。
大きく傾くリクライニングは電動で、オットマンも備わりますが、前後スライドは手動です。
独立型で3座並んだ3列目も座面は硬いです。2列目よりもさらに硬い。座面長はやや短めですが、背もたれは高さがあって肩口までしっかりとホールドできるのはいいです。各座席は独立してリクライニングできます。膝スペースは、2列目足元を程よく余裕のある位置にしても、充分に余裕があります。
荷室を見ると、やはり商用バンです。フロアが低く開口部はスクエアで広い。3列目シートを外せば広くフラットな荷室になります。
両車ともにテールゲートはガッチリとした嵌合構造になっていて、閉めると車体とドアが嵌合するので剛体として機能する構造です。
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