■フィアット ドブロの走り
足の動きが滑らかです。動き出してすぐにわかります。ただ、歩くほどの速度で大きく左右にステア操作すると、左は反応遅れがないのですが、右操舵時に若干反応遅れがあります。左前輪の空気圧が少し低いように感じます。
ショックアブの動きは滑らかです。微速入力域でもしっかりと動いてまったく突き上げを感じさせません。サスペンションのストロークがたっぷりあって、しなやかに動きます。乗り心地がよく、長距離を走っても疲労は少ないです。
それなりに速度を上げたコーナリングでも、操舵に対する前後の動きのバランスがいい。フロントの切れ込みにリアが素直に追従します。わざと急激な意地悪操舵をしても姿勢を乱すことはありません。
車体がガッチリしています。ロングホイールベースで後部荷室の開口も大きく、車体剛性面では不利な形状なのですが、Bピラー部にルーフまで回り込む補強部材が入っているなど、車体をガッチリと作っています。この構造により、パネルの共振が抑えられているため、ロードノイズもよく抑えられています。
1.5Lディーゼルターボはトルクレスポンスに優れ、加速が心地いいし、回転を上げても嫌な騒音はありません。8速ATがトルクバンドをしっかりとキープするので、どこから踏んでもスッと加速していきストレスがありません。ステランティスはこの8速ATを全車に採用することでコストダウンも図っています。
ブレーキはよく利きます。ノーズダイブが抑えられていて、後輪の接地が活かされています。
■ベンツ V220dの走り
いつものようにゆっくりと動きながらステアリングを大きく左右に切ります。操舵に対する左右の反応差はありません。車体剛性が高いことがわかります。
車速を上げていくと、操舵に対しリアがどっしりと粘って相対的にフロントが軽快に動きます。リアタイヤを支点にしてフロントが動くイメージです。ちょっとフロントが負けています。やはり荷室に重量物を積載する前提の商用バンがベースなので、リアサス周りの強度と剛性が活きています。
わざと急激なステア操作をしても、リアはしっかりと路面を掴んで安定を失うことはありません。また、下り坂の厳しい旋回でも、フロント外輪だけにロール荷重が集中することもなく、前のめり姿勢にもなりません。
ルームミラーがカメラ式ですが、これは後続車との距離感がつかみ難く私には向きません。
40km/h前後で連続する路面のペイント段差部を走ると、コツコツとした入力を感じますが、突き上げる硬さの嫌味はなく、足はしっかり動いています。
ディーゼルエンジンの音は、エンジンルームを開けて聞こえた音からは想像できないほど遮音され、不快な「騒音」はありません。振動もよく抑えられています。ロードノイズもよく抑えられています。
ブレーキは、安定した姿勢で後輪もしっかりと制動してよく止まります。
エンジンはターボが大きいため、アクセルを踏み込んだ瞬間のトルクレスポンスに若干の遅れがあります。3500rpm以上での回転の伸びとトルクの盛り上がりはいいのですが、ベンツの最新ディーゼルターボと比べると、低回転域のトルクの立ち上がりは少し遅れます。
フィアットドブロ、ベンツV220dともに、商業用の重荷重に耐えるプラットフォームが、安定性がいいスムーズな走行性能の基盤になっていることを再確認できました。
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